職場恋愛
「全然関係ないですけど、つり目さんって年下のりんちゃんさんに言いたい放題言われて嫌じゃないんですか?」


なんとなく気になってたことを聞いてみた。
わざわざ聞かなくても分かってはいるんだけど……。


「俺ねー、上下関係厳しいのダメなんだよね。みんなタメ口がいいしバンバンいじってほしい」


えぇ、なんかそれ捉え方によっては…。


「ドMなんですね…」


「ちげーし!!」


「嘘です。言ってみただけです」


思えばつり目さんは本当に優しい。
どうしたらそんな優しくなれるのかぜひ教えていただきたい。
航もだけど。


「前から気になってたんですけど、つり目って最初に呼んだの、山野さんですか?」


それこそ嫌じゃないんだろうか。


「よく知ってんじゃん。山ちゃんがリーダーになる前は家電と同じように普通に苗字呼びだったんだよ」


「へぇ〜!」


やっぱりあだ名付け始めたのって山野さんなんだ。
ちょっと意外。


「俺北川って苗字じゃん?」


……誰もそう呼ばないから初めて知ったなんて言えない。


「4文字言うのめんどくさいみたいで下の名前で呼ぼうってなってたんだけど、似合わないとか失礼なこと言われて」


下の名前こそ知らないんですけど!!


「確かに湊(みなと)って顔してないとは思うけどね、それを言う!?って。しかもなんか自分と漢字が似てるから気に食わないって」


うわ…。怖っ。
山野さん、気強いけどここまで言っちゃうのね…。


「で、『やっぱつり目だよなー』って軽いノリでこうなった」


本当に軽い…。嫌じゃないの…?


「まぁそれがなきゃやっぱ今とは違ってただろうし。俺はつり目でものっぽでもなんでもいいかな」


心が広い!!
< 489 / 543 >

この作品をシェア

pagetop