職場恋愛
side 結


ズビズビ泣く私をまるで小さな子どもかのようにつり目さんがあやしてくれていたんだけど、やっとりんちゃんさんたちが降りてくるのが見えて急いで泣き止んだ。

また心配かけちゃうかもだから。



「よし、あいつらも帰ってきたし、うどん食うぞ」


またぽんぽんって頭を撫でられて若干動揺してしまったけど、気にしないことにした。


「ねぇゆーちゃん、なんかりん泣いてね?」


え?


つり目さんに言われて2人のことをよーく見てみると。

確かに泣いている、ように見える。


どうしたんだろう。




気になった私たちは2人の方へ走って行き、様子を伺った。


「こうちゃん、どうした?」


「上で転んじゃって」


よく見ると、りんちゃんさんの足や腕にいくつもの傷があった。

転んだって、どうやって。
どうしたらこんなに怪我するの。


「そこ座って」


今まで私たちが座っていたベンチにりんちゃんさんを座らせて、同じようにつり目さんが手当てを始めた。


「転んだって、転がったの間違いじゃないの?」


「うっさいわね!ずびっ、足くじいて5,6段落ちただけなんだけど!」


「転がったんだろ、ダッセー。肉ダルマじゃねーか」


5,6段って。1段滑っただけの私でもかなり怖かったのに、5,6段転がったって。


「俺が付いていながら、すみません」


なに、俺が付いていながらって。航はりんちゃんさんの専属ボディーガードか何かですか。


「こうちゃんがバッグ引っ張ってくれなきゃもっと落ちてたんだから、助かったよ、ずびっ、ありがとう」


私が滑ったことには気付かなかったのに。
今も私の絆創膏には気付いてないくせに。


「もっと早く気付いていたら…」


そんなにりんちゃんさんが心配!?
こんなに元気なのに。泣いてるけど!私よりたくさん怪我してるけど!元気じゃん!


もっと私を見てよ。
航は私の彼氏でしょ!?


「もういいの、大丈夫だから!こうちゃんはゆーちゃんとイチャついてなさい」


「いや、でも…」



……何さ。私とイチャつきたくないって?
ええ、ええ、私だって他の女の心配ばっかりするような人とはイチャつきたくありません!!

勝手にして!



「つり目さん、私トイレ行ってきますね」


「場所分かる?」


「はい」


「迷子になるなよー」


「大丈夫です!」


もう!!!なんなの!!ほんとにもう!!
無性にイライラする!!嫌!!
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