職場恋愛
side 結



30分くらい泣いたらなんかスッキリしちゃって今更後悔と自己嫌悪がハンパない。

自分勝手に暴言吐いて閉じこもっちゃったもんだから出るに出られないし、ほんと、最悪。

最悪すぎて最最悪。最悪の中の最悪っていうか。
これでまた皆様の好感度が下がったに違いない。
何やってんだろ、私。




ひたすら自己嫌悪の沼にはまっていたらつり目さんから電話がかかってきた。

怒られるかな…。



「…もしもし」


『大丈夫?こうちゃんになんか言われた?』


言われたのは私じゃないですよ…。


「……私が色々言っちゃいました」


『色々って?』


「…大っ嫌いとか、………死ねばいいのに、とか。最低なこと」


『…なんか言われたからじゃないの?』


「いえ…りんちゃんさんのことばっかり気にかけてるのがなんか嫌っていうか、怪我してるから仕方ないって頭では分かってたんです。でも、最後までりんちゃんりんちゃんって言うから、勢いで…。そんなこと思ってないのに…」


『そっか。まぁいいんじゃない?相手はこうちゃんなんだし。山ちゃんみたいな人だったらまぁ許してはもらえないだろうけど、こうちゃんなんだもん。だって、あれでしょ、それはやっぱり、嫉妬っていうか、不安になっちゃったんでしょ?』



嫉妬だなんてみっともないから認めたくはないけど、その通りだ。

りんちゃんさんばっかり、ずるい、取らないで。
私の彼氏、取らないでって。


だからって航にあんなこと言っていいわけないのに。
すごく傷付けちゃった。
いつも優しくしてくれて、今朝も慰めてくれたのに。


「嫉妬しました。不安にもなりました。可愛いりんちゃんさんに取られちゃうんじゃないかって。でも、だからって…」


『結構なことじゃないの。それだけ好きなんでしょ。修復は早い方がいいと思うよ。すぐに謝って、ひとりにしないでって言いな?こうちゃんって天然で底なしに優しいからさ。たまにこうやって他の女にも分け隔てなく優しくしちゃうけど、悪気はないのよ、絶対。次ゆーちゃんの目の前で他の女と一緒にいたら俺がゆーちゃんをさらうから』



なんかほんと、お母さんみたい。
喋り方といい包容力といい。

最後は男前な冗談だけど。



「謝ったら、許してくれますかね」


『許してくれるだろうし、逆にすっげー謝られると思う。なんでも早い方がいいよ。
今ご飯食べに行かせてるから、ゆーちゃんも食べておいで』


謝って…みようかな…。
自分で蒔いた種だけど。
怖くて怖くて仕方ないけど。

嫌いじゃないよってあんなこと思ってないよって言わなくちゃ。


「つり目さん、ありがとうございます。本当に。ありがとうございます」


『俺は何もしてないよ。頑張れ!ゆーちゃん!』




この人は背中を押すのが得意だ。尊敬しちゃうな。


すぐにでも謝ろうとトイレから出ようとしたけどまさかのまさかでお腹が激痛…。
緊張してるからかな…?


うわ、すごい痛い。もう、最悪。
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