職場恋愛
side 結



色々意味わかんないなーと思いながら外を見てたらいつのまにか寝ちゃってたみたい。


あと30分くらいで家に着いてしまうらしい。
あ、航のね。


でもそこに帰るわけにはいかないから…。どうしよっかな。



もうすぐ夜中の2時だから家にいるんだろうけど。
漫画喫茶にでも住み込もうかなぁ。



「ゆーちゃんはこうちゃん家でいいの?」


いつのまにか交代していた運転手のりんちゃんさんがミラー越しに聞いてきた。



「……駅でお願いします」



「駅?どうやって帰るの?」



「適当に…」



「却下。夜だからね?」



心なしかりんちゃんさんの口調がキツイ気がする。



「迎えにきてもらうならいいけど。違うんでしょ?」


「まぁ……」




「ちょっと、つり目」



「ぇあ?なに」


腕を組んで寝ていたつり目さんを起こした不機嫌ぽいりんちゃんさん。

なんで怒ってんの。




「こうちゃんに電話かラインして」


「なんで?」



いや。



「いいです。大丈夫です。私子どもじゃないですから」



「だよな、こうちゃん寝てるかもだ…」

「子どもでしょ!」



…え。なに。



「おい、りん」


「つり目は喋んないで。ねぇゆーちゃんさ」



「…はい」



「そんなふてくされた顔して周りがなんとも思わないと思ってんの?」


「え、そんな顔…」


「してるよ。子どもみたいにいつまでもいつまでも」


いやいや、意味分かんないんですけど。
なにを怒られてるの、私。


「まぁまぁ、りん、落ち着こ、ね」


「喋んなって言ってんの!」



キーキー騒いで、そっちの方が子どもじゃん。


「こうちゃんとちゃんと話したの?全部聞いたの?一方的になんか言って勝手にフラれた気になってんじゃないの?」


あなたには関係ないでしょ。


「ちゃんと解決しなさい。あんな優しい人いないよ?あんないい人いないよ?」


「………」


「ほら、つり目、早く電話」


不眠症だから寝てたら嫌なんだけど。


「3コールして出なかったら切るよ……」



つり目さんもビビっちゃって。
最悪。
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