職場恋愛
全部りん視点での話ではあったけどほぼ間違いのない出来事たちをマシンガンのごとく話し終えたりんは満足そうにウーロンハイを飲んでいた。


「その顎の擦り傷は金比羅山でできたのか」


「顎だけじゃないよ。足とか腕も切れてたりアザができてたり」


「気を付けろよだっせーな」


「しょーがないでしょ!?こうちゃんを独り占めしてるみたいで嫌だったんだから!超怖かったんだからね!!」



ダサいとかアホとか言ってるけど心配そうにりんを見てる山ちゃん。

やっぱ恋人同士だなーなんて訳の分からないことを考えてるのは秘密。




「大阪のホテルで岩盤浴してるときもふてくされて全然綺麗になれなかったし。はぁっ。やんなっちゃう」



「ふてくされてってどんな?」


俺は部屋で待機してたからその時の様子は知らないんだよな。


「どんなって。話しかけてもムッスーってしてるしなんかふてくされてんの」


「まぁゆーちゃんって基本自分しか見えてないからな」


なんなのこの人たち。アンチゆーちゃんなの知らなかったんだけど〜。


「つり目はムカついたりしないの!?」


「え?別に」


「はーーー。その寛大な心ちょっと分けて?あたしは無理。まさかあんな扱い受けると思ってなかったわ」


それよりゆーちゃんの愚痴が止まらないなら俺は退散したいのだが。



ブー、ブー、…



「誰?携帯」


「俺」


話題を変えたくてウズウズしてるところに山ちゃんのスマホが鳴った。
ナイスタイミング!!!



「あ、なに?」


電話の出方からして上司や仕事関係ではなさそう。

いや、上司ここにいるからな。一言も喋ってないけど。



「どこいんの?串焼。あ、そう。こうちゃんだけだろ?いーぞー」


え、しま?

もしかして来るの?


いや、まずいって。
あいつの口は館内アナウンスそのものだから!


「誰?」


「しま。こうちゃんがすげえことになってるから助けてくれって」


すげえことって何。
現役彼氏の前でゆーちゃんのこと悪く言わないか心配で仕方ないんだけど。
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