職場恋愛
翌日、いつも通り入社して休憩室に入るとザワザワと騒がしかった。
「ねー!絶対嘘。彼女できたんでしょ。誰?早く言いなさい」
「顔真っ赤だよ、逢坂くん」
「急に冷たくされたと思ったらそういうこと?お世話になってる先輩にそんな態度取っちゃダメでしょ?」
女の先輩方に責められている航は言われている通り顔が真っ赤っか。
誰にも言わないって話してたのに、もうバレたの?
早すぎでしょ…。
まぁ、嘘が上手な人には見えないけど…。
こんなに早いとは。
一体何をしでかしたんだか。
「あの、まじでそういうのじゃないんで…」
真っ赤な顔で否定しても説得力ないっての。
ていうか、なんで顔赤くしてるの?
……照れてるの?
「おはざまーす」
私の後ろから問題の島田さんが元気よく入ってきた。
「なになに?逢坂いじめてんの?俺もいじめたい!仲間に入れてください!」
なんでいじめられてるのかを聞かずに先輩方の輪に入っていった島田さん。
「顔真っ赤だよ、逢坂くん。
こいついじめんの楽しいっすねー!」
先輩方のセリフを真似する島田さんは心底楽しそうだ。
「島田うるさい!部外者はさようなら」
「で、なんでいじめてるんすか?」
ゆでだこの航が島田さんを追い払うと、やっと島田さんは大元を聞いた。
「逢坂ったら彼女ができたできないで意地張っちゃって。あたしらに冷たく当たったんだよ。キラキラ王子様はずっと王子様でなくちゃね」
先輩の1人が説明すると島田さんの頭に電球が光った。ように見えた。
「あ、お前荒木ちゃんと付き合えたの?ほーん。おめでと」
………………。
………………。
………………。
「はい?」
今のは私の声。
心の中で言ったつもりが外に出ていたらしい。
いや、ちょっと待って。
知ってるじゃん。
いやそれより、なんでみんなの前で言うの?
え、謎すぎるじゃん。
ちょっと待って。
待って。
いやいや、待って。
理解不能。
思考停止。
絶体絶命。