職場恋愛
事務所でカメラチェックをする國分さんとそれを見守る私、岩木先輩。
こんな大事にしなくても、渡したものは渡した。
変な言いがかりとかやめてほしい。
「逢坂取れるかー」
國分さんは相変わらず逢坂先輩が好きだそうで、インカムで何度も逢坂先輩を呼ぶ。
「あ、逢坂悪い。荒木の代わりにレジ入ってもらえるかー。おう、悪いな」
また逢坂先輩か。
今度はどんな説教をされるんだか。
「荒木」
「あ、はい」
低い声で私を呼ぶ國分さん。
「このお客様か?お前渡してねーな」
言われて画面を見ると、確かに私はお釣りを渡していなかった。
カメラの映像は、私が商品を渡して次の人のお会計をするところが映っていて、お釣りをもらっていないと言ったお客さんはしばらくそこに留まっていたみたいだ。
それに気付かない私は次々とお会計していき、返しそびれたお客さんは再びレジに並んでいた。
あー。まじか。
身体中の血の気が引く感覚。
お客さんにもあんなに威張っちゃって。
私どうするの。
「すみませ……」
「岩木、俺行くから元のレジ戻っていい」
私の謝罪を聞き入れることなく2人は行ってしまった。
とりあえず元いたレジの方に戻ってみるとさっきのお客さんに頭を下げる國分さんが見えた。
私はなんでこんなに仕事ができないんだろう。
最悪すぎる。
お客さんが帰った後の國分さんの顔はとても見れたものではなかった。
近くにいた先輩に何をすればいいかを聞いたら『知らないよ、そんなの自分で考えて』と言われてしまって仕方なく人が足りてなさそうな家電フロアに移動した。
順調に仕事をこなしていると後ろからとてつもなく低い声が聞こえた。
「おい荒木」
國分さんだ。
さっきの説教かな。
「こっち来い」
振り返って謝ろうとしたらまたどこかへ連れて行かれるみたい。
着いた先は事務所。
ドアを閉めた瞬間に國分さんが口を開く。
「お前はお釣りだけじゃなくて自分の担当も忘れるのか?」
「えっと、先輩に聞いたら自分で考えろって言われて…」
「お前の代わりは逢坂がやってんだよ。いつまでやらせるつもりだ?」
「あ、じゃあ戻ります」
「ふざけんな!いい加減にしろ。帰れ。二度と顔見せるな」
ふざけてなんか、ない。
どうしたらいいか分からないだけ。
誰も悪気があってこんなことしてるわけじゃない。
勝手が分からないんだ。
私だって一生懸命怒られないようにやってるけど、そのやり方が違うってことは誰も教えてくれない。
バイト経験もない私が何もかも初めての場所で完璧にできるわけないじゃん。
出て行こうとする國分さんの腕を掴んで叫んだ。
「みんな怒るだけで誰もやり方を教えてくれないじゃないですかっ」
「………………………は?」
掴んだ手を勢いよく振りほどかれて、より一層怒らせてしまった國分さんが近寄ってくる。
「新卒のくせにやり方を教えてくれ?
はっ。笑わせんなよ。基本的なことを教えてもらったらそれで十分だろ。
先輩のやり方を見てもできないのが高校生。先輩のやり方を見て学ぶのが新卒。お前は入学したての高校生か!?」
こんな大事にしなくても、渡したものは渡した。
変な言いがかりとかやめてほしい。
「逢坂取れるかー」
國分さんは相変わらず逢坂先輩が好きだそうで、インカムで何度も逢坂先輩を呼ぶ。
「あ、逢坂悪い。荒木の代わりにレジ入ってもらえるかー。おう、悪いな」
また逢坂先輩か。
今度はどんな説教をされるんだか。
「荒木」
「あ、はい」
低い声で私を呼ぶ國分さん。
「このお客様か?お前渡してねーな」
言われて画面を見ると、確かに私はお釣りを渡していなかった。
カメラの映像は、私が商品を渡して次の人のお会計をするところが映っていて、お釣りをもらっていないと言ったお客さんはしばらくそこに留まっていたみたいだ。
それに気付かない私は次々とお会計していき、返しそびれたお客さんは再びレジに並んでいた。
あー。まじか。
身体中の血の気が引く感覚。
お客さんにもあんなに威張っちゃって。
私どうするの。
「すみませ……」
「岩木、俺行くから元のレジ戻っていい」
私の謝罪を聞き入れることなく2人は行ってしまった。
とりあえず元いたレジの方に戻ってみるとさっきのお客さんに頭を下げる國分さんが見えた。
私はなんでこんなに仕事ができないんだろう。
最悪すぎる。
お客さんが帰った後の國分さんの顔はとても見れたものではなかった。
近くにいた先輩に何をすればいいかを聞いたら『知らないよ、そんなの自分で考えて』と言われてしまって仕方なく人が足りてなさそうな家電フロアに移動した。
順調に仕事をこなしていると後ろからとてつもなく低い声が聞こえた。
「おい荒木」
國分さんだ。
さっきの説教かな。
「こっち来い」
振り返って謝ろうとしたらまたどこかへ連れて行かれるみたい。
着いた先は事務所。
ドアを閉めた瞬間に國分さんが口を開く。
「お前はお釣りだけじゃなくて自分の担当も忘れるのか?」
「えっと、先輩に聞いたら自分で考えろって言われて…」
「お前の代わりは逢坂がやってんだよ。いつまでやらせるつもりだ?」
「あ、じゃあ戻ります」
「ふざけんな!いい加減にしろ。帰れ。二度と顔見せるな」
ふざけてなんか、ない。
どうしたらいいか分からないだけ。
誰も悪気があってこんなことしてるわけじゃない。
勝手が分からないんだ。
私だって一生懸命怒られないようにやってるけど、そのやり方が違うってことは誰も教えてくれない。
バイト経験もない私が何もかも初めての場所で完璧にできるわけないじゃん。
出て行こうとする國分さんの腕を掴んで叫んだ。
「みんな怒るだけで誰もやり方を教えてくれないじゃないですかっ」
「………………………は?」
掴んだ手を勢いよく振りほどかれて、より一層怒らせてしまった國分さんが近寄ってくる。
「新卒のくせにやり方を教えてくれ?
はっ。笑わせんなよ。基本的なことを教えてもらったらそれで十分だろ。
先輩のやり方を見てもできないのが高校生。先輩のやり方を見て学ぶのが新卒。お前は入学したての高校生か!?」