職場恋愛
ツンツンの黒髪、健康そうな肌の色、太ってるわけじゃないのにがっしりした印象の彼は一体何者なんだろう。
頼れる人っていうか、しっかりしてそうだと思わずにはいられないその印象に圧倒されてしまう。


「寺内さんから指示があったらきっちりその通りに動いてくださいね。余計な気遣いとか下手なミスとか絶対やめてください。エフロの全員に伝えてくださいね。言われたことしかやっちゃだめですよ」

170ちょいありそうな身長で155センチくらいの岩木さんを見下ろしながら念を押した山野さん。

寺内さんって誰。
エフロって何。

「ミスは絶対NGですからね」

何回念を押すんだ…。
ってくらい何度も同じことを言って去っていった山野さん。

この店に航以外であんなしっかりしてそうなスタッフいたんだねぇ。
なんて先輩に失礼か。



「荒木さん、今の聞いてたでしょ?店長代理で来てる寺内さんに指示されたらそれしかやっちゃだめ。それ以下もだめ。分かった?」


急に目の前にくるものだから一歩引いてしまう。

岩木さんにはさっき怒られたばかりだし、話したくない。
手短に終わらせよう。


「はい。気を付けます」


指示通り動けばいいんでしょ。
はいはい。分かりましたからさようなら。


「あんたさ、ほんっとに態度悪いよね」


げっ。
また始まった。


「…そうですか?思い込みでは?」


言ってしまってハッとする。

やっば。
心の声出ちゃった。


「は?先輩に対してその態度は何?」


最悪。


「ちょっと来な」

本格的なお説教のはじまりはじまり。
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