職場恋愛
指示をもらえなかった私は何をすべきか分からず店内をウロウロした。
エアコンフロアは人が足りてそうだからレジに来てみたけど、こっちも足りてそう。

普段はあんまり行かない調理フロアへ行ってみると家電のリーダー、安井さんが私を見つけて変な顔をした。

「荒木、何やってんの?」

変な顔のまま私に駆け寄って来たリーダー。

「店長代理に怒られて指示をもらえないから仕事探してます」

あまり仕事では接点がないリーダー。
この人も私のことをよく思っていない。

言われたわけじゃないけど見てたら分かる。
私も少し苦手だから尚更。


「怒られた…?なんで?」

「インカムを忘れてしまって、指示を聞き逃したんです」

って私ったら、まだインカム付けてないし。
取りに行かなきゃ。

「うわ…。ダメだよ。それ絶対ダメなやつ。エフロに情報行ってないの?」

出た、エフロ。

「エフロってなんですか?」

「え?エアコンフロアの略」

あ、、、。

「あぁ…」

私、馬鹿だ。
ただの馬鹿だ。


お願いだから今の忘れてください。


「逢坂とか、岩木さんから聞いてない?」

「それを聞いたときに、別件で岩木さんに怒られてて、その時に指示が流れたみたいで…」

ほんと、ベリーバッドタイミングです。


「あぁ、そう。で、怒られた時どうしろとか言われなかったの?」

「帰れって言われましたけど…」

本当に帰るのってなんか違うじゃんね。

「じゃあ今すぐ帰って!今日は本当に!ね!お願いだから!」

リーダーに肩を揺さぶられながら懇願されたから渋々ロッカーへ行くことに。

早上がりばっかじゃ減給されちゃうじゃん。

最悪。
まじで最悪。
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