職場恋愛
部屋にこもって好きな曲を聴いていたら着信が入って音楽が止まってしまった。

誰さ…。


【逢坂さん】


画面に出た名前にドキッとする。


そっか。18時過ぎてるから上がったんだね。

「もしもし」

『結?家?』

「そうだよ」

早上がりのこと知ってるんだ。
そりゃそうかー。
いないんだもんね、そこに。
気付くわな。


『結のとこ行くから少し会えない?』

私の家…遠いしなぁ。

「…今日お家に泊めてくれませんか?」

逆にね。私が行く、みたいな。
こんな家にいたっていいことないし。

『いいけど…帰ったのに戻ってくるのめんどくさくない?』

「大丈夫です。むしろ、今すぐ行きたい」

『分かった。東駅で待ってるね』

「私の家遠いから、時間かかります。だから…お家で待っててください」

『じゃあ、近くなったら連絡して。部屋片付けてから駅行くから』

今日も変わらず優しい声音の航に安心する。
私たち、付き合っちゃってる…。


こんなに気分が沈んでても、今から会えるなんてついニヤケてしまう。
しかも、プライベートで。
しかも、お家で。

やばい。ニヤケが止まらない。


さっ。準備しよう。
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