fish story -嘘と秘密の7日間-
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「ちゃんとお弁当持った?」

「持ったよ」

「忘れ物ないわよね?」

「うん」

「いってらっしゃい! 気をつけてね」

「いってきます!」



今日は、ぼくが所属しているサッカークラブの 大事な試合の日。



はじめてスタメンに入れたんだ。

今日のためにいつも以上にたくさん練習した。

だから絶対大丈夫!!



ぼくは自転車で会場へと向かった。

いつもは苦になる 急な上り坂も、今日は軽々と越えられた。


緊張はしているけど、楽しみな気持ちのほうが強い。


こんな気分は、はじめてだ。



集合時間までは十分余裕がある。

それでも、早く会場に行きたいという気持ちが前に出る。



『今日は、いつも以上に注意しなさい。浮かれた気持ちでいると事故に遭うわよ』



お母さんの言葉を思い出した。


こんなところで事故に遭って、足を怪我したら今日の試合どころか、今後大好きなサッカーを続けられなくなるかもしれない。



信号が赤に変わる。


会場はすぐ目の前。


早く青に変われ!



信号が青に変わる。


右、左、右。


ちゃんと左右を確認してから、右足に力を入れてペダルを踏む。

















よし、会場につ…………























…………くことはなかった。



















だって、ぼくは、






急に右折してきたトラックにはねられたから。








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