ヘップバーンに捧ぐ
『あーごめん、ごめん!
いつもの、咲良だ~~。


突然なんだけど、
今夜22時ぐらいあいてる?』

「あいてるけど?」

『Skypeしたいんだけど、ok?』

「いいっすよー」

『んじゃ、後でね~!』

目の前に、砂肝ちゃんがやって来た。

1.食べる
2,捕まえる
3.道具
4.逃げる

そりゃぁ、1番一択でしょ。
ん~~たまらん。
コリコリの食感に、甘辛い味噌が絡まっていて
これまた、トッピングの茗荷が
食感とともに、サッパリとさせてくれる
最高。
生きててよかったー

『ねぇーちゃん、
なんかあったか?いつもより、ペース進んでんぞ』

そんなに進んでだかなぁ?

「まぁね。
生きてたらいろんなことありますよ。」

『ハッハッハー
ねぇーちゃん、幾つだよ。
そのセリフは、俺みたいに枯れてきてから
言うセリフだよ。』

『俺なんか、店やってて25年だけどよ、
呑まなきゃやってらんねぇ夜なんて、何回あったか。
けどよ、寒い冬の日がどんなに続いても
じっと耐えてたら、春は来るもんだよ。』

「春が来る?」

『そうよ。
一回、店を奪われそうになってよ
相手は大企業だからさ、勝ち目なくってよ
途方にくれてたらさ
若い兄ちゃんがさ、助けてくれたんよ
それまで辛かったけどよ、
一瞬で吹き飛んだよ』

「助けてくれた人、すごい人ですね。
このお店が無くなったら、困ります。
日本のサラリーマンのオアシスなのに!
その人には、私も感謝します!」

ここは、私が入社してから見つけた
穴場の居酒屋なのだ。
< 26 / 76 >

この作品をシェア

pagetop