ヘップバーンに捧ぐ
『ねぇちゃん、良いこと言ってくれるね~
おいよっと、煮卵おまけしてやるよ
内緒なっ?
たまに、飯食いに来てくれるんだけどよ
最近来ねーな、未来の社長さん』

「未来の社長さん???」

『どっかの今、専務かなんかやっててよ、
将来跡つぐんだってさ。
なんだったけなぁ、あさやけ?あさめし?
あさ……』

「ASAKURAの専務?」

『そう、そうだよ!
ねぇちゃん、よく知ってんな!
その人だよ、その人だよ!
いやー、えらく顔が良くてよ
いけすかねぇやつかと思えば、骨のある良いやつでさ。人は見かけによらねえな』

「そう。そうなんだ。」

ほらね、専務は見かけによらない。
しっかりした人だ。お馬鹿お嬢様とは大違い。
専務は、何事も筋を通す人なのだ。
よかった、私の目はまだ腐ってない。

「今日、ここに来てよかった。
また、明日から頑張れます。
ありがとう、ご馳走様でした」

入った時よりも、スッキリした気分で
お店を出た。

あれっ?
なんでこんなに、専務のこと気になるの?
おかしいな?夏風邪引いたのかしら。

取り敢えず、Skypeが待ってるので
家路に着いた。





空は、曇天のままだった。
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