ヘップバーンに捧ぐ
お盆休み前日、会社の廊下に
女子たちのどよめきが走った。



『あの人、来週からの出社じゃなかった?』

『あんなに、イケメンなんてー!
専務もかっこいいけど、私こっち派!』

『噂では、聞いてたけど
実物本当にイケメン〜♡』

イケメン、イケメン
黄色い声ばかり。

『先輩?ルカが言ってた、営業の人ですかね?』

「うーん、そうかもね………あ、あっ!」

『先輩?』

いけねー、楓が言ってたこと忘れてたよ
あいつ来るんだった。

『先輩どうしたんですか?
おーい、せんぱーい?魂飛んでますよー
もっしもーし………』

「大丈夫よ」

大丈夫、大丈夫。



『マーケティング部の皆、
ご苦労ご苦労。

我営業第一に、来週から配属になった
設楽 涼介君だ。

一足早く、挨拶回りに来てくれてなぁ。
今時の若いもんにしては、出来すぎておる。
うちの会社にも、設楽君みたいな
骨のあるやつおらんのか?』

鼻息荒く、御託を並べる
九重部長。
何となく観葉植物達も、萎れてっている
気がするんだけど………

『九重部長。そう仰らずに。
皆さんお仕事中の様ですよ?

皆さん、初めまして。
この度、営業第一でお世話になります
設楽 涼介です。

まぁ、僕が来たからには
この会社の売上は、右肩上がりですよ!
皆さん、大船に乗ったつもりでいて下さい!』

部長の嫌ーな顔ったらありゃしない。
社員全員、開いた口が塞がらないと言った感じ。


『では、隣の部署に参りましょうか………
咲良?咲良だよなぁ!
久しく会ってなかったけど、元気だったか?
いやー、この会社に転職してよかったよ
これからよろしく頼むよ』

『美波くん、設楽君と知り合いなのか?』


顔が、ニヤニヤ気持ち悪い………

「えぇ。大学で一緒『元カノです』


!!!!!!!!!!!!!!!!

ジーザス!!!!!!!!
< 32 / 76 >

この作品をシェア

pagetop