ヘップバーンに捧ぐ
これは、庇ってくださったのですか?
社長。



『私はね、常日頃思うんですよ。
社員達には
あなたのように偉い部長対しても
例え社長と呼ばれる私に対してでも
間違っていると思う事なら
臆する事なく発言して欲しいと。
確か昔の偉人もそんなこと言ってましたかね?

マーケティング部の諸君達は
実に頑張って仕事してくれてますよ

彼らの仕事は、営業第一では出来ませんよ。彼らの変わりは誰も出来ません。
この会社の経営を
憂いておられるようで、それはそれは。ご心配に及びませんよ。
我が社の社員は、頼もしいですからな。

おやおや、
皆、自分の仕事はおわったのかね?
仕事は、実に尽きんものだよ。

九重部長も、ご自身の部へ
お戻りなさいな。



美波くん、少しいいかな?』

社長が、現れた事で
物見見物に現れた社員達は
バツ悪そうに
皆が、それぞれの持ち場に戻る。


でも、私は仕事に戻れない。
一刻も早く、この空気から
解放されたいのに。
社長には、感謝しているけれど………



ただ普通の生活を送りたいだけなのに。

目立たずひっそりと生きていきたいだけなのに。


どうして、私の予定調和は
壊れるのか。
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