ヘップバーンに捧ぐ

咲良ちゃんとの昼食は
自分の精神的にもたらしてくれる
ものが多い。

周りは、俺にごますってうまい汁吸おうと考えている
下心丸見えの人間か、専務の椅子から引きずり降ろそうとする
人間かのどちらかしかない。

でも、咲良ちゃんは違う。
俺がASAKURAの人間だとか関係なく、
一人の人間として接してくれる。

まぁ、人間扱いされてないときもあるけれど、
そんなやり取りが心地いい。
(決して自分に、Mッ気が有るとかではないっ!)

咲良ちゃんは、
俺をASAKURA専務取締役 アサクラ ショウマでなく
麻倉 翔駒に戻れる時をくれる。


このひと時を、邪魔する奴はどんな奴でも容赦しない。
やっと見つけたんだ。
邪魔されてたまるか。


咲良ちゃんが気が付かないところで
邪魔者はたくさんいた。

実際に危害を加えようと画策した輩もいたが、
悉く社会的にも抹殺してきた。

会長もそれに気が付いているはずだ。

それでも、懲りない。
挙句の果てに、東洞什器から自分のコバンザメ九重を寄こしてきた。

親父たちも、
田野島会長が関東経済界に口利きしたい狙いがあることは
わかっていて、九重を受け入れた。

しかし、九重に与えたポストは
執行部ではなく、営業部長だった。

ただでさえ面倒くさい性格しているが、
日ごとに面倒くささは増していった。

ここらで、一発つぶしておくかと思案し始めたころ
コバンザメは動き出した。
< 51 / 76 >

この作品をシェア

pagetop