ヘップバーンに捧ぐ
顔が、熱くなったり冷たくなったり
忙しい

翔駒さんは、言葉を選びながら
このところの出来事が何故起きたのか
説明してくれた

とりあえず、翔駒さんはあの人の婚約者ではない

とても、ほっとした
本当にほっとした

下手したら、週刊誌で書かれかねない
事になってたかもしれない


楓の目撃情報は、そのそっくりさんだったのだ
よかったけど、正直、気味が悪い

『わかってくれた?
俺は、咲良しかいらない
それだけは、信じて』

「はい、疑ってごめんなさい
あのー、暑いのでそろそろ手離してくれません?」

『ダメ、逃亡癖があるようなので
今日はずっと、手を握ってる』

そうなんで、恥も外聞のなくさらっと
そんなこと言えるのか
そうか!海外生活長いからた

『海外生活長いから、
気障なこと言えると思ってる?』

だから何故に、エスパ~!

もう、聞くのも疲れたので
そのままにした

「翔駒さん、両親に電話していいですか?」

『もちろん』

「あの、手離してください……」

『………』

聞いてくれないようである。
まっ、いいか。
父に電話かけた。

『咲良!今どこだ?無事か?怪我無いか?』

「そんな質問ばっかしないでよ。
大丈夫。いきなり飛び出してごめんなさい。
今どこにいるの?」

『ciliegiaだよ。涼子も一緒だ』
『咲良?お母さんよ!
何も告げずに連れてったから、驚くわよね
ごめんね
本当にごめんね……』

「あやまらなくていいよ。今までごめんね?
意固地になってたね…
とりあえず、そっち戻るから
待っててくれる?」

『急がなくていいから、翔駒くんと一緒にかえっておいで
まってるよ』

両親に『まってるよ』って言われたのはいつぶりだったか。
これからは、お父さんお母さんに
「待ってるよ」ってちゃんと言おう。
私たちには、まだまだ時間がある。
もう一回、家族になればいい。

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