ヘップバーンに捧ぐ
翔駒さんと、両親のとの向こうの生活を色々聞きながら
お店についた。
「お店、終わっちゃったみたいです。」
扉には【close】のプレートがかかってた。
『今日は特別な日だから、貸し切りにしたんだ』
貸し切り2回目!
『咲良が今度は扉開けて』
いくらイタリア語でも自分の名前が付けられたなんて聞いたら
恥ずかしくて、でもちょっと嬉しい。
両親と翔駒さんが決めてくれたから。
こそばゆい気がしながら、扉を開けた。
両親は、エプロン姿で待っていた。
「どうしたの?そのかっこ」
『咲良に、どうしても料理食べてほしかったの
だから五島山さんに無理言って厨房借りたのよ
ほら、冷めちゃうから食べて?』
お父さんが、椅子を引いてくれて白ワインを注いでくれた
料理は、お母さん特性のグラタンだった。
お母さんのグラタンは別格においしい。
自分で何度か挑戦したが、母の作るグラタンにはかなわなかった。
アツアツのグラタンの中身は、
厚切りのベーコン、コーン、ほうれん草、マッシュルーム、
あとペンネ。
熱くて舌がやけどしそうだけど、止まらなかった。
『どう?咲良
味見はしたけど、おいしい?』
「美味しい…」
美味しいって言ったとたん涙が、あふれ出した。
『どうした!咲良! 舌やけどでもしたか?
水のんで!はい』
「ううん。違うの、違うの」
『咲良は、うれし泣きしてるんだよな?』
そう、胸が苦しくて言葉が詰まる
おいしい
おいしい
半分ぐらい勢いのまま食べた
「あのね。お父さんお母さん聞いて?」
本当はさみしかった、本当は逢いたかった、
風邪ひいた時、そばにいてほしかった
空港でお父さんお母さん見送る時、嫌だった
このまま日本にいてほしかった
授業参観も運動会も来てほしかった
紗英ちゃんは確かにそばにいてくれたし
いつも家にいてくれたから一人じゃなかったよ
けれど、周りのみんなが正直羨ましかった
紗英ちゃん死んじゃった時、
本当は、もっと早く来て欲しかった
本当は、ワガママ言いたかったけど
いい子で待っててね
っていわれたら言えなかった
なかった、欲しかったばっかりが
前に出てしまって、お父さんお母さんを
嫌うことでなんとか正当化しようとした
そんなんなら、
私なんて産まなきゃよかったのにって思ってた
今まで、本当にごめんなさい」
泣きながら何言ってるかわからないけど
言いたいことが言えた
けれど、黙って聞いてくれる両親の肩は
とても小さくて、いたたまれなかった
『咲良、お前が謝る必要なんてないぞ
本当にすまなかった
言い訳しても、仕切れないくらい
お前には、寂しい思いさせてしまった
親失格だな
無責任なことしか言えなかった
本当にすまなかった
もう、本当にすまなかった
これだけは、信じて欲しい
咲良を一度たりとも忘れたことはない
いつも気にかけていた
逢いたかった
紗英に、いつも任せっきりで
紗英にもよく怒られていた
ちゃんと自分の口で咲良に言えってな」
お父さんは涙を流さまいとしながらも
言葉を詰まらせながら語った。
『咲良を、産まれて初めて抱っこした時
嬉しくて、嬉しくて
一生懸命私の指を握ってくれる手を
離しちゃダメだ、何があっても命より大事な
あなたを大切にしなきゃ
って思ったのがついこないだのようだわ
咲良って名前にしたのは
私達に、幸せの灯をこんなにも運んで来てくれて
まだ目も見えてないのに
私達の目を見てずっと笑ってくれた
だから、この子の人生がいつも笑顔の花で
溢れるように願ってつけたの
そう名づけたのに、それを今まで実行してこなかった私たちね
寂しい思いさせてることに
後ろめたさしか感じなかった
けどそうじゃないのよね
家族なんだから向き合って話し合って
行かなきゃダメだったのに
許してなんて言わないわ
けれど、咲良が世界でたった1つの宝物なのは
神に誓うわ
これからは、あなたから逃げない
何でも、咲良の心の中教えてちょうだい?
本当に今までごめんなさい』
「逃げていたのも意固地になっていたのも
全部私の方だよ
短い時間でも、たくさん遊んでくれたじゃない
ちゃんと愛されていた記憶あるのに
翔駒さんに言われるまで
飛びだけなかった
翔駒さん、ありがとうございます
私に両親に向き合うチャンス下さって」
『俺は何もしてないよ
美波夫妻の咲良を思う気持ちが本当だったからさ
俺もさ、親父達にグレたんだよ
俺は何でこの家に生まれたのかって
何度も思った
けどさ、爺ちゃんが
捻くれてる俺を殴ってくれて
目が覚めたんだ
それがあったから、今度は俺が
皆んなの絡まった糸を解く手伝いが
出来ればと思ってお節介おばさんしただけ』
『翔駒くん、本当にありがとう
君には、頭が上がらない』
『翔駒さん、本当にありがとうございます
翔駒さんがいてくれなかったら
私たちはきっとすれ違ってたままだったわ
心から、感謝申し上げます』
『皆さん頭をあげましょう
しんみりした空気はこれで終わり!
グラタン冷めちゃってたけど残り食べちゃいな
けれど、これ美味しいね
一口もらった
お袋さ、料理壊滅的にダメなんだよな
咲良が羨ましいよ
さぁ、残り食べたら
デザートにしよう』
それから私たちは、
それぞれの思い出話や私の赤ちゃん時の写真を
持って来て、私以外の3人の
派手な盛り上がりに
若干引き気味な私だけど
みんなが笑っている
私の名前の通りだ
明日死ぬんじゃ無いか心配なるぐらい
幸せに包まれたこの日を忘れないだろう
お店についた。
「お店、終わっちゃったみたいです。」
扉には【close】のプレートがかかってた。
『今日は特別な日だから、貸し切りにしたんだ』
貸し切り2回目!
『咲良が今度は扉開けて』
いくらイタリア語でも自分の名前が付けられたなんて聞いたら
恥ずかしくて、でもちょっと嬉しい。
両親と翔駒さんが決めてくれたから。
こそばゆい気がしながら、扉を開けた。
両親は、エプロン姿で待っていた。
「どうしたの?そのかっこ」
『咲良に、どうしても料理食べてほしかったの
だから五島山さんに無理言って厨房借りたのよ
ほら、冷めちゃうから食べて?』
お父さんが、椅子を引いてくれて白ワインを注いでくれた
料理は、お母さん特性のグラタンだった。
お母さんのグラタンは別格においしい。
自分で何度か挑戦したが、母の作るグラタンにはかなわなかった。
アツアツのグラタンの中身は、
厚切りのベーコン、コーン、ほうれん草、マッシュルーム、
あとペンネ。
熱くて舌がやけどしそうだけど、止まらなかった。
『どう?咲良
味見はしたけど、おいしい?』
「美味しい…」
美味しいって言ったとたん涙が、あふれ出した。
『どうした!咲良! 舌やけどでもしたか?
水のんで!はい』
「ううん。違うの、違うの」
『咲良は、うれし泣きしてるんだよな?』
そう、胸が苦しくて言葉が詰まる
おいしい
おいしい
半分ぐらい勢いのまま食べた
「あのね。お父さんお母さん聞いて?」
本当はさみしかった、本当は逢いたかった、
風邪ひいた時、そばにいてほしかった
空港でお父さんお母さん見送る時、嫌だった
このまま日本にいてほしかった
授業参観も運動会も来てほしかった
紗英ちゃんは確かにそばにいてくれたし
いつも家にいてくれたから一人じゃなかったよ
けれど、周りのみんなが正直羨ましかった
紗英ちゃん死んじゃった時、
本当は、もっと早く来て欲しかった
本当は、ワガママ言いたかったけど
いい子で待っててね
っていわれたら言えなかった
なかった、欲しかったばっかりが
前に出てしまって、お父さんお母さんを
嫌うことでなんとか正当化しようとした
そんなんなら、
私なんて産まなきゃよかったのにって思ってた
今まで、本当にごめんなさい」
泣きながら何言ってるかわからないけど
言いたいことが言えた
けれど、黙って聞いてくれる両親の肩は
とても小さくて、いたたまれなかった
『咲良、お前が謝る必要なんてないぞ
本当にすまなかった
言い訳しても、仕切れないくらい
お前には、寂しい思いさせてしまった
親失格だな
無責任なことしか言えなかった
本当にすまなかった
もう、本当にすまなかった
これだけは、信じて欲しい
咲良を一度たりとも忘れたことはない
いつも気にかけていた
逢いたかった
紗英に、いつも任せっきりで
紗英にもよく怒られていた
ちゃんと自分の口で咲良に言えってな」
お父さんは涙を流さまいとしながらも
言葉を詰まらせながら語った。
『咲良を、産まれて初めて抱っこした時
嬉しくて、嬉しくて
一生懸命私の指を握ってくれる手を
離しちゃダメだ、何があっても命より大事な
あなたを大切にしなきゃ
って思ったのがついこないだのようだわ
咲良って名前にしたのは
私達に、幸せの灯をこんなにも運んで来てくれて
まだ目も見えてないのに
私達の目を見てずっと笑ってくれた
だから、この子の人生がいつも笑顔の花で
溢れるように願ってつけたの
そう名づけたのに、それを今まで実行してこなかった私たちね
寂しい思いさせてることに
後ろめたさしか感じなかった
けどそうじゃないのよね
家族なんだから向き合って話し合って
行かなきゃダメだったのに
許してなんて言わないわ
けれど、咲良が世界でたった1つの宝物なのは
神に誓うわ
これからは、あなたから逃げない
何でも、咲良の心の中教えてちょうだい?
本当に今までごめんなさい』
「逃げていたのも意固地になっていたのも
全部私の方だよ
短い時間でも、たくさん遊んでくれたじゃない
ちゃんと愛されていた記憶あるのに
翔駒さんに言われるまで
飛びだけなかった
翔駒さん、ありがとうございます
私に両親に向き合うチャンス下さって」
『俺は何もしてないよ
美波夫妻の咲良を思う気持ちが本当だったからさ
俺もさ、親父達にグレたんだよ
俺は何でこの家に生まれたのかって
何度も思った
けどさ、爺ちゃんが
捻くれてる俺を殴ってくれて
目が覚めたんだ
それがあったから、今度は俺が
皆んなの絡まった糸を解く手伝いが
出来ればと思ってお節介おばさんしただけ』
『翔駒くん、本当にありがとう
君には、頭が上がらない』
『翔駒さん、本当にありがとうございます
翔駒さんがいてくれなかったら
私たちはきっとすれ違ってたままだったわ
心から、感謝申し上げます』
『皆さん頭をあげましょう
しんみりした空気はこれで終わり!
グラタン冷めちゃってたけど残り食べちゃいな
けれど、これ美味しいね
一口もらった
お袋さ、料理壊滅的にダメなんだよな
咲良が羨ましいよ
さぁ、残り食べたら
デザートにしよう』
それから私たちは、
それぞれの思い出話や私の赤ちゃん時の写真を
持って来て、私以外の3人の
派手な盛り上がりに
若干引き気味な私だけど
みんなが笑っている
私の名前の通りだ
明日死ぬんじゃ無いか心配なるぐらい
幸せに包まれたこの日を忘れないだろう