ヘップバーンに捧ぐ
喫茶店を出て、今から帰る旨
両親に伝えた。帰っこなくて良いのにと
言われながらも、ちゃんと帰るから
チェーン閉めずに待っててと伝えた。

喫茶店から自宅まで30分も無かった。
約2日間一緒にいて別れるのが寂しかった。
今まで、こんな事思ったことがなく
自分でも戸惑うけど、案外悪くない。

「翔駒さん、本当にありがとうございました」

あとはシートベルトを外すだけ。

『咲良さ、敬語戻ってる
明日電話するからさ、その時敬語抜けて無かったらお仕置きね、おやすみ咲良』


「わかった。あとね一緒に住むの嫌じゃないよ
ただ、もう少し待ってね
おやすみなさい!大好きです!
さようならっ」

そう言い終わる時には、唇は塞がれていた。

『おやすみ咲良、愛してるよ
家入るまでみてるから、こけるなよ?」

かなわないなぁー!
本当に家に入るまで、見送ってくれた。
ホクホクした気持ちで、今日は眠れた。

次日、1日家にいて両親とお喋りしたり
お母さん手作料理をたらふく食べて、
ひたすら、ぐーたらした。

夕方ぐらいに翔駒さんから電話があり、
今日は仕事だったらしく
ぐーたらな自分がとっても情けない。
電話口の翔駒さんは、とっても優しく
『休みはちゃんと休め』と言ってくれた。
敬語の件は、半分ごちゃ混ぜになっているけど何とか克服できそう?な感じ。

次の日、
両親と翔駒さんでお墓参りに行った。
既に、お花が手向けられていてた。
毎年誰かわからないけど、お花手向けてくれるから、いかに紗英ちゃんが愛されていたのかよくわかる。

お墓掃除して、お供え物して、線香・ろうそくに火をつけて皆それぞれに、静かに手を合わせ
紗英ちゃんにご挨拶した。
いつもは、一人で来るけど今年は家族と愛する人と、ここに来れた。
それを噛み締めて、空に感謝した。

それから、お昼ご飯を食べ翔駒さんとはそこで別れ、後は両親とお買い物に出掛けた。

むちゃくちゃ楽しかった!
買い物はいつも一人か、楓と行くかで
両親と買い物行ったことが夏はほぼ無かった。
また夏の思い出が1つできた。

その後は、楓と出かけたり、両親と日帰り旅行に行ったりしながら、休みは残り後1日になった。

楽しい休み程、早く過ぎてしまうもので
子供の頃もそうだった。
両親が帰国して、うちに帰って来てくれたら
あっという間に時間が過ぎて向こうに帰らないといけない日になってしまって、寂しかった。

今年は寂しくない。
本当に毎日、充実した休みになった。
しかし、お母さん特製のズッキーニスープが
あまり入らない程、緊張している。

理由は………
明日翔駒さんのご実家にご挨拶に行くことが控えているからだ。
ご両親に挨拶する日が来るなんて
思ってもみなかったよ

もちろん、プロポーズされたから
いつかは来るものだけど、心の準備が整ってない。

お母さんに何着て行ったらいいか、
手見上げはいらないって言われたけど、
一応手見上げは必要でしょ?
あれこれ考えてたら、全然寝られなくなってたけど気がついたら、朝だった。

階段降りるのも、ロボットみたいになってるし
もっと図太い性格だと思ってたけど、
そうではないらしい。

それから支度したり、あれこれしていたら
あっと言う間に翔駒さんが迎えに来てくれる時間になってしまった。

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