ヘップバーンに捧ぐ
どうやら、社外の取引先や他者の役員達は
この事を知っていたようで、
田野島会長の横暴に、腹を据えかねていた為
翔駒さんの計画に、賛同したようだった。

『関係者の皆様、
この様な、晴れの舞台にもかかわらず
お見苦しい所をお見せしてしまい
大変申し訳御座いませんでした。

改めましてですが
私から、ご報告が御座います』

皆、何事かと言う顔で翔駒さんを見つめる。
すると私は、係員の人にこちらへと連れて、
いきなり、ライトが当たった。

『もう、既に皆様ご存知かと思いますが
私麻倉 翔駒は、先日こちら美波 咲良さんと
婚約いたしましたこと、発表させて頂きます
まだまだ、未熟な二人ですが
どうかこれまで通り暖かく見守り頂ければ幸せに、御座います』

そう言って、翔駒さんと私は頭を下げた。
急なことで、驚いたけど
まぁ、何とかなったんではないでしょうかね!

芸能人かと思わせるフラッシュと拍手の数。
私は一般人なので、こんなのは御免被りたいけど
翔駒さんと結婚するってことは
避けて通れないか。
まぁ、何とかなるでしょ。


半年後、
田野島会長は、違法なM&A・地上げや
政治家との収賄疑惑など摘発され
目下、東京地検で身柄を拘束されている。

九重部長は、私への傷害未遂で立件されたことと
愛人を全国にこさえていた為、奥さんとの
泥沼の離婚戦争が始まった。

東洞 梨沙子さんも数々の男性遍歴が
明るみになり、ワイドショーを賑わしている。
その中に、設楽 涼介もいたとなると
もう始末に負えない。

世の中、悪いことはできません。

こうして、一連の騒動は終わりを告げた。

また、いつもの日常に戻った。
変わったことは、特にはないと思う。
なんて言えませんね。

会社では、時期社長の奥様と囃し立てられ
居心地が悪いの何の。
けれど、皆祝福してくれて嬉しかった。
松室さんが、翔駒さんのお母さんだったと
誰も気づかないまま、退職された。

そう言う私たちは、結婚式を
半年後に控えている。

翔駒さんの招待客の多さと
真子さんの花嫁衣装着せ替え人形になったりと
準備は、大変だけど
物凄く、幸せ。

お父さんとお母さんは、
エジプトでの仕事が終わり次第
日本に腰を落ち着けるそうだ。
孫の世話をしなくてはと張り切っている。
予定は未定だけどね!
世界を股にかけて、活躍するってかっこいいね

会社のみんなも、元気そうみたいだ。
優彩ちゃんは、キャリアウーマン目指して
ボブカットにした。
(これもしかしてだけど、あの人狙ってる?)

楓は、営業成績を買われ、オーストラリアの支店に異動となった。トオル君とのことが心配だったけど、何と、トオル君仕事辞めて一緒にオーストラリアに行くことになった。目下英語勉強中とのこと。

翔駒さんは、相変わらずの忙しさで
体が心配だけど、
喧嘩もするけどいつも変わらず
私を愛してくれる。
この人に、出会えて本当に良かった。

式の後、何とかスケジュールの空きを
橘さんが作ってくれて、新婚旅行に行く。

場所は、もちろん。
!!ローマ!!

紗英ちゃんが繋いでくれた人の糸を
切らない様に大切に大切に守っていきたい。

そして、次に出会う人に伝えたい

何より大事なのは、

人生を楽しむこと。

幸せを感じること、

それだけです。



- オードリー・ヘップバーン -


END


< 75 / 76 >

この作品をシェア

pagetop