ヘップバーンに捧ぐ
皆さん思われたのではない無いですか?
この手の類の話に、つきものの、
あれ存在!
そう、あんたなんかが
専務に近づくなー!というあれですよ!
実に、厄介だ。
ちゃーんと、有りましたよ。
ついこの間までね。
•物がなくなる
•すれ違いざまの、お声がけ
(悪い方のやつね)
•謎の、張り紙
などなど言い出したら、
あっと言う間に
東京五輪来ますので、割愛します。
悪しからず。
私にも、要因がある。
毎回、あーこんな感じて来たかと
今日は、趣向を変えた嫌がらせだなとか
いちいち取り合わなかったので、
相手達の行動も、エスカレートする。
そう言うものだ。
そんな日々は、
ある日突然終焉を迎えた。
==============================
その日の午後は、
新作商品の感想を主婦モニターの方々から拝聴する、通称:奥様会議を控えていた。
しかも、その奥様会議の模様が
テレビ放送される予定であった。
1週間前に、私は頼まれた通り、
大会議室を押さえ、
同じ部の白井さんと共に
段取りに抜かりないよう一つ一つ
確認しながら行った。
==============================
リポーターもビックリ。
事件です。
前日の夜
大会議室はキャンセルされ、
小会議室1に変更されていた。
私の名前で。
気づいたのは、
その日の朝であった。
しかも、大会議室は、
急な来日が決まった
海外からのお客様との商談で、
既に予約されていた。
白井さんは、私知らなーいと
椅子をくるくるしながら言った。
その近くで彼女の取り巻き達は
『専務に、アタックし過ぎて
仕事してる暇なかったんじゃないのー』
と言った。ツッコミどころ満載だが、
もちろん、私に
非難の目が集まる。
けれど、どんなに確認したと言えど、
記録が残っている限り誰も、
信じてくれない。
会議室の予約は、会社給付の
その人専用のパソコンからしか、
ログイン/会議室予約が
出来ないようになっていた。
私は、クビになる覚悟をした。
あの日ほど、自分がクビになると
思った日はない。
けれど、そんな事を言っても
事態は変わらない。
一刻も、早く解決に向かわねばならないと思った矢先、福音が鳴った。
『やだ、何これ?困るわー。
これ、誰が付けたの?
やたらとケバいピンクのネイルが机についてるのよ
やんなっちゃうわ』
一同振り返り、一人を見る。
だって、その独特なピンクのネイルは、
パパが、イタリアで買って来てくれたのーと、ご自慢の長い爪と一緒にジマンしてたのだから、白井さん。
『あ、あぁあたし、じゃないわよ!
その女が、会議室間違えたのよ!
私は、ちゃんと確認したもん。
小会議室1って!』
追い詰められて、ボロ出したね。
この子、馬鹿か?
もっと、やるなら、
完璧にしようよ!
どうして、すぐに足つく事したの!
しかも、なんで人のところで
ネイル塗ってんの?
なーんて、考えてたら
雷が落ちた。
『ひとつ言ってよろしい?
あなた、本当に好き勝手言うわね。
頭の中、化粧とお洋服と男の人の事しか、考えてないのね。
この仕事だって、あなた
何一つしてないでしょ?
美波さん全て、準備してくれたのよ。
その間、あなた専務の周り
うるさい蠅の様に
飛び回ってたそうね。『な、何をっ!』
お黙りなさい。
しかも、専務に
あんな、地味で、無愛想な
美波さんって社会人とて
失格じゃないかと言ったそうね?
美波さんはね、
こんな移動してすぐのおばさんにも
分かりやすく、優しく丁寧に
教えてくれたわ!
それに、誰よりも早く
出勤して、皆んなのスケジュール確認から、会議の準備、謎の部長の頼まれごとまで嫌な顔せず、黙って一人でこなすじゃないの!
貴方、美波さんの仕事の一つでも
満足にできたことある?
仕事も満足に出来ない人が、
頑張って仕事している人の
邪魔をするなんて、何事です。
会社は、働くところよ。
働いて、お給金を頂くところよ。
そんな事もわからないなら、
此処から、去りなさい』
『な、ななな何よ!
パパに言いつけるわよ!
パパは、棚橋物産の専務よ!
おばさんなんか、直ぐにクビにしてもらうんだから!』
『さぁ!どうぞ!
パパにでも、総理大臣でも
泣きつきなさいな!
私は、構わなくてよ!
あと、皆さん
美波さんに、少し甘えすぎでは?
確かに仕事は、早くて、正確。
『キャリアウーマンは違うねー』
って、確か部長いつも、仰いますね?
訳がわかりません。
人一倍、努力家さんなのよ。
コツコツ、事務の仕事を遂行して行った
4年間の彼女の努力の賜物よ。
そんな、8文字で彼女の努力を
表現して欲しくないわ。
彼女が、もし倒れてしまったら
どうされるおつもり?
大の大人が、責任取れない様な事
するんじゃありません!』
こっわ。
松室さん、こっわ。
顔面蒼白って、こう言うことを言うのね。今日1日で、色んな勉強したよ。
でも、松室さんは、私を過大評価
しすぎです…
自分そんなんじゃねぇです。
でも、私の4年間は
決して無駄じゃなかった。
誰かは、見てくれていたんだ。
『専務っ!』
『話は、聞かせて頂きました。
まぁ、此処まで、低レベルな
集まりがだったとは。
美波さんに対する、
今回の一連の出来事は、厳しく処分しなくては、なりません。
嫌がらせの当事者、それに加担した者、全て報告を受けています。
白井さん、貴方のことは、
我が社に甚大な損害を与えたであろう
行為ですので、
最近の目に余る行動とともに
貴方のお父様には、一報させて頂きました。
棚橋物産との付き合いを、見直す時期でしたしね。
あと、彼女含め事務員全て
の勤務日報を再度見直します。
橘、各部署に明日迄に日報提出との事
通達してくれ。
しかし、原因の一つに、私が絡んでいるのも事実です。
美波さん、申し訳ありませんでした。
謝罪しても、仕切れません。
けれど、美波さんを昼食に誘うのは
辞めません。
此れからは今までに増して
ガンガンアプローチしますので、
30を過ぎた男の今後を、
皆さん暖かく、見守ってください。
そして、今後一切の美波さんへの嫌がらせは、私への嫌がらせとみなし
それ相応の対処させて頂くので、
どうぞよろしく。
話が長くなりましたね、
皆仕事に、戻って下さい!』
ウゲェ〜
どさくさに紛れて、何行ってんの?
そんな場合じゃない。
会議室なんとかしなければ、
『美波さん、
私の通ってるカルチャーセンターの
一室が空いているの。
良かったら、使って!
いつも、雑用ばかり頼んでごめんね。』
『美波ちゃん、俺の行きつけの居酒屋
特別に昼間開けてくれるってよ!
弁当持ち込み今日だけいいってさ!
確かに美波ちゃんばっかだったよね…
今まで、気付かずごめんな!』
「皆さん、
本当にありがとうございます!
そんな、謝らないで下さい。
私も、まだまだ未熟者ですので」
自分の中では、そんなに負担に感じていなかったけど、
今日気付いた、結構いっぱい、いっぱいだったんだ。
何か、肩の凝りがスーッと解けていく感じがした。
『咲良ちゃん
専務室使えばいいよ。
今、橘に準備させているしね。
僕も、
そこでインタビュー受けるんだし。
一石二鳥だ。』
「えっ、デモ…」
『専務、準備が整いました。』
『よし、そう言うことだ。
今日は、頼みますよ。マーケティング部の皆さん。期待してます。』
笑顔で、颯爽と去って行った。
そんなこんなで、無事
奥様会議は大成功に終わった。
テレビクルーの人達も、いい画取れたと
満足気に、お帰りなった。そして、
その放送回だけ、異常に
視聴率が良かったとかなんとか。
理由は、お分かりですね?
奴の、スマイルですよ。
あぁー、疲れた。
==============================
それからは、パッタリ嫌がらせがなくなり、平常運転に戻った。
しかし、
今までに増して、専務の奇行が増えても
ごゆっくり〜と、皆が
生温い目線とともに、去っていく。
誰か、専務から私を解き放ってくれる
猛者いるのかい?いないのかい?
どっちだ?
白井さんはと言うと、
次の日辞表を出した。
白井さんの取り巻き達は、
今までに別の人にも
嫌がらせを繰り返し行っていた為、
地方に飛ばされた。
==============================
後にも、先にもこの会社
入って良かったと思えた日はない。
九死に一生とはこのことだ。
そして、その時だけは
専務がかっこよく、見えた。
其れはまた、秘密の話。
この手の類の話に、つきものの、
あれ存在!
そう、あんたなんかが
専務に近づくなー!というあれですよ!
実に、厄介だ。
ちゃーんと、有りましたよ。
ついこの間までね。
•物がなくなる
•すれ違いざまの、お声がけ
(悪い方のやつね)
•謎の、張り紙
などなど言い出したら、
あっと言う間に
東京五輪来ますので、割愛します。
悪しからず。
私にも、要因がある。
毎回、あーこんな感じて来たかと
今日は、趣向を変えた嫌がらせだなとか
いちいち取り合わなかったので、
相手達の行動も、エスカレートする。
そう言うものだ。
そんな日々は、
ある日突然終焉を迎えた。
==============================
その日の午後は、
新作商品の感想を主婦モニターの方々から拝聴する、通称:奥様会議を控えていた。
しかも、その奥様会議の模様が
テレビ放送される予定であった。
1週間前に、私は頼まれた通り、
大会議室を押さえ、
同じ部の白井さんと共に
段取りに抜かりないよう一つ一つ
確認しながら行った。
==============================
リポーターもビックリ。
事件です。
前日の夜
大会議室はキャンセルされ、
小会議室1に変更されていた。
私の名前で。
気づいたのは、
その日の朝であった。
しかも、大会議室は、
急な来日が決まった
海外からのお客様との商談で、
既に予約されていた。
白井さんは、私知らなーいと
椅子をくるくるしながら言った。
その近くで彼女の取り巻き達は
『専務に、アタックし過ぎて
仕事してる暇なかったんじゃないのー』
と言った。ツッコミどころ満載だが、
もちろん、私に
非難の目が集まる。
けれど、どんなに確認したと言えど、
記録が残っている限り誰も、
信じてくれない。
会議室の予約は、会社給付の
その人専用のパソコンからしか、
ログイン/会議室予約が
出来ないようになっていた。
私は、クビになる覚悟をした。
あの日ほど、自分がクビになると
思った日はない。
けれど、そんな事を言っても
事態は変わらない。
一刻も、早く解決に向かわねばならないと思った矢先、福音が鳴った。
『やだ、何これ?困るわー。
これ、誰が付けたの?
やたらとケバいピンクのネイルが机についてるのよ
やんなっちゃうわ』
一同振り返り、一人を見る。
だって、その独特なピンクのネイルは、
パパが、イタリアで買って来てくれたのーと、ご自慢の長い爪と一緒にジマンしてたのだから、白井さん。
『あ、あぁあたし、じゃないわよ!
その女が、会議室間違えたのよ!
私は、ちゃんと確認したもん。
小会議室1って!』
追い詰められて、ボロ出したね。
この子、馬鹿か?
もっと、やるなら、
完璧にしようよ!
どうして、すぐに足つく事したの!
しかも、なんで人のところで
ネイル塗ってんの?
なーんて、考えてたら
雷が落ちた。
『ひとつ言ってよろしい?
あなた、本当に好き勝手言うわね。
頭の中、化粧とお洋服と男の人の事しか、考えてないのね。
この仕事だって、あなた
何一つしてないでしょ?
美波さん全て、準備してくれたのよ。
その間、あなた専務の周り
うるさい蠅の様に
飛び回ってたそうね。『な、何をっ!』
お黙りなさい。
しかも、専務に
あんな、地味で、無愛想な
美波さんって社会人とて
失格じゃないかと言ったそうね?
美波さんはね、
こんな移動してすぐのおばさんにも
分かりやすく、優しく丁寧に
教えてくれたわ!
それに、誰よりも早く
出勤して、皆んなのスケジュール確認から、会議の準備、謎の部長の頼まれごとまで嫌な顔せず、黙って一人でこなすじゃないの!
貴方、美波さんの仕事の一つでも
満足にできたことある?
仕事も満足に出来ない人が、
頑張って仕事している人の
邪魔をするなんて、何事です。
会社は、働くところよ。
働いて、お給金を頂くところよ。
そんな事もわからないなら、
此処から、去りなさい』
『な、ななな何よ!
パパに言いつけるわよ!
パパは、棚橋物産の専務よ!
おばさんなんか、直ぐにクビにしてもらうんだから!』
『さぁ!どうぞ!
パパにでも、総理大臣でも
泣きつきなさいな!
私は、構わなくてよ!
あと、皆さん
美波さんに、少し甘えすぎでは?
確かに仕事は、早くて、正確。
『キャリアウーマンは違うねー』
って、確か部長いつも、仰いますね?
訳がわかりません。
人一倍、努力家さんなのよ。
コツコツ、事務の仕事を遂行して行った
4年間の彼女の努力の賜物よ。
そんな、8文字で彼女の努力を
表現して欲しくないわ。
彼女が、もし倒れてしまったら
どうされるおつもり?
大の大人が、責任取れない様な事
するんじゃありません!』
こっわ。
松室さん、こっわ。
顔面蒼白って、こう言うことを言うのね。今日1日で、色んな勉強したよ。
でも、松室さんは、私を過大評価
しすぎです…
自分そんなんじゃねぇです。
でも、私の4年間は
決して無駄じゃなかった。
誰かは、見てくれていたんだ。
『専務っ!』
『話は、聞かせて頂きました。
まぁ、此処まで、低レベルな
集まりがだったとは。
美波さんに対する、
今回の一連の出来事は、厳しく処分しなくては、なりません。
嫌がらせの当事者、それに加担した者、全て報告を受けています。
白井さん、貴方のことは、
我が社に甚大な損害を与えたであろう
行為ですので、
最近の目に余る行動とともに
貴方のお父様には、一報させて頂きました。
棚橋物産との付き合いを、見直す時期でしたしね。
あと、彼女含め事務員全て
の勤務日報を再度見直します。
橘、各部署に明日迄に日報提出との事
通達してくれ。
しかし、原因の一つに、私が絡んでいるのも事実です。
美波さん、申し訳ありませんでした。
謝罪しても、仕切れません。
けれど、美波さんを昼食に誘うのは
辞めません。
此れからは今までに増して
ガンガンアプローチしますので、
30を過ぎた男の今後を、
皆さん暖かく、見守ってください。
そして、今後一切の美波さんへの嫌がらせは、私への嫌がらせとみなし
それ相応の対処させて頂くので、
どうぞよろしく。
話が長くなりましたね、
皆仕事に、戻って下さい!』
ウゲェ〜
どさくさに紛れて、何行ってんの?
そんな場合じゃない。
会議室なんとかしなければ、
『美波さん、
私の通ってるカルチャーセンターの
一室が空いているの。
良かったら、使って!
いつも、雑用ばかり頼んでごめんね。』
『美波ちゃん、俺の行きつけの居酒屋
特別に昼間開けてくれるってよ!
弁当持ち込み今日だけいいってさ!
確かに美波ちゃんばっかだったよね…
今まで、気付かずごめんな!』
「皆さん、
本当にありがとうございます!
そんな、謝らないで下さい。
私も、まだまだ未熟者ですので」
自分の中では、そんなに負担に感じていなかったけど、
今日気付いた、結構いっぱい、いっぱいだったんだ。
何か、肩の凝りがスーッと解けていく感じがした。
『咲良ちゃん
専務室使えばいいよ。
今、橘に準備させているしね。
僕も、
そこでインタビュー受けるんだし。
一石二鳥だ。』
「えっ、デモ…」
『専務、準備が整いました。』
『よし、そう言うことだ。
今日は、頼みますよ。マーケティング部の皆さん。期待してます。』
笑顔で、颯爽と去って行った。
そんなこんなで、無事
奥様会議は大成功に終わった。
テレビクルーの人達も、いい画取れたと
満足気に、お帰りなった。そして、
その放送回だけ、異常に
視聴率が良かったとかなんとか。
理由は、お分かりですね?
奴の、スマイルですよ。
あぁー、疲れた。
==============================
それからは、パッタリ嫌がらせがなくなり、平常運転に戻った。
しかし、
今までに増して、専務の奇行が増えても
ごゆっくり〜と、皆が
生温い目線とともに、去っていく。
誰か、専務から私を解き放ってくれる
猛者いるのかい?いないのかい?
どっちだ?
白井さんはと言うと、
次の日辞表を出した。
白井さんの取り巻き達は、
今までに別の人にも
嫌がらせを繰り返し行っていた為、
地方に飛ばされた。
==============================
後にも、先にもこの会社
入って良かったと思えた日はない。
九死に一生とはこのことだ。
そして、その時だけは
専務がかっこよく、見えた。
其れはまた、秘密の話。