〈完〉最初で最後の初恋


先生と私が仲良くなるのには時間がかからなかった。



先生は、生徒思いで、勉強の教え方も

生徒一人一人に合わせて教え方も変えてくれて

悩んでることも相談に乗ってくれて


他の先生からの相談もされて信頼も厚い


すごく良い先生だった。



私が先生に恋をしたのは出会った日だった。



ここの塾は先生1人に対して生徒1人の

完全マンツーマンの授業。


「じゃあ、初めての授業だから今日は授業しない!」


『え?どういうことですか?』


「いきなり勉強ガリガリっていうのは嫌でしょ?
俺も嫌だから」


そう言って先生は少年の笑顔のように私に笑った。


私にはその笑顔が塾から帰っても頭から離れなかった。
この瞬間から恋が始まっていたんだと思う。

「うーん、そうだな
今日は、リホちゃんの話を聞きたい。」


『え?私の話ですか?』


「うん、リホちゃんの話。
何でリホちゃんは塾に行こうと思ったの?」

『えっと…』

「うん?」

先生は私の話をちゃんと聞いてくれる。
私の言葉を待っててくれる。
私の心に寄り添ってくれる。


『お母さんに成績下がったの怒られたのと
来年、受験だからです。』


「そっか、じゃあリホちゃんが行きたかったからじゃないんだ。」


『はい。すいません。』


「なんで謝るの?
ちゃんとお母さんの言うことを聞いてんだよな?
お母さんの期待に応えようとしてるんだよな?
大丈夫。いつか、リホちゃん自身がここに来たいって思えるようにするから」


先生の

「だよな?」

の言葉に男の人なんだって思った。



先生、先生は
ここに来たいって思えるようにするから
って言ったけど

私はこの日から
塾に行くのが楽しみだったんだよ?


いつしかここは私の居場所になってたんだよ?
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