My hero is only you

<エピローグ>

 パソコンのキーボードから、指を放した。

 画面の中には、2年前の思い出が詰まっている。

 高校3年の夏を迎えていた。

 思い出の中のあの人と同じ。

 今でも昨日のことのように思い出せる。

 いい思い出として。
 
 それはきっと、最後の日のあの人とちゃんとお別れができたからだろうと思う。


 今はどうしているだろうか。

 あの日もらった電話番号のメモを広げる。

 今まで一度も掛けなかった番号。

 番号を押す。

 つながらないかもしれない。
 
 番号ももう変わってしまっているかもしれない。

 コールは7回。

「もしもし?」

 切ろうとした瞬間に繋がった。

 受話器の向こうに聞こえる声は、懐かしい声。

「もしもし、あの・・・」

 その声があの頃のままだったから、次の言葉が繋げなくなる。

 それなのに。

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