だいじなもの。
「……………子………、………殺………」
お医者様達がいつ出て行ったのかも
扉の向こうでの会話も
少しも興味がなく、ただただ天井を見つめていた。
もう、何も考えたくなかった。
長い時間考えて下した決断がこんなにもアッサリ終わってしまった。
この子を守りたかった。
優しく抱きしめて、成長を見守りたかった。
それももう叶わない。
放心状態とはこのことを言うのだろうか。
悔しくて、辛いはずなのに涙の一滴すら流れてこない。
ス____
「奈緒」
誰が入ってきたのかですら確かめる気力がなく、ピクリとも動く気にもならなかった。
だが、名前を呼ばれて直ぐ様に大きくて温かい手が優しく私の手を擦ってくれてるのを感じて視線だけを動かした。
煌だ………