だいじなもの。
「・・・・スン・・・」
どれぐらい泣いていたのだろうか、時間が分からなくなるくらい煌の腕の中で何も考えずに号泣した。
あの子を失ってから初めて感情を表に出せた。
感情が弾けたからなのか、心の中の靄《もや》が晴れた。
勿論罪悪感がなくなったわけではない。
私のために犠牲になってくれたあの子に恥じない様に前を向いて進んでいこうをそう思えるようになった。
子供のように泣きじゃくっていた私に何も言わないず、子供をあやす様に頭をポンポンと優しく撫でていてくれた煌。
縋るように泣いていたから何も思っていなかったが、感情が落ち着いてくると離れるタイミングが掴めない。
「・・・・・・ごめん、ありがとう」
ゆっくりと離れようと腕に少し力を入れてみる。
「もう大丈夫?」
「うん」
顔を覗かれ、素直に返事をする。
「そっかー」
両肩に煌の腕が来たと思ったらズシッと体重が乗ってきた。
「甘えてる奈緒可愛かったんだけどな」
「・・・・っ/////」
顔の温度がみるみる上がっていくのが自分でもわかる。
『可愛い』なんてここしばらく言われたことなくて年甲斐もなく照れてしまった。
いや、『可愛い』って言われて照れるのは年齢関係ないよね。
「どう?今なら寝れそう?」
「どうだろう・・・・・。でももう悪夢にはならないと思う」
根拠はないけど、次あの子の声が聞こえたら応援してくれそう。
そう直感が言っている。
「じゃあ寝ようか」
「え!?」
突然の煌の提案に驚きが隠せなかった。