だいじなもの。
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「ふふっ」
試作も終わり、上機嫌で着替える。
「何ニヤニヤしてんのよ」
トンっと体に体当たりしてくる美咲さん。
「そりゃ、まぁあの辛口の春菜さんに『まぁまぁ』って言われたんですもん」
春菜さんの『まぁまぁ』は私たち下積み達からしたら誉め言葉の入口なのだ。
「まぁ、あのケーキは奈緒が拘ってずっと試行錯誤してやっと形になってきたケーキだもんね」
「私も美咲さんみたいにダメだったら次に行けばいいのにどうしても諦めきれなくて・・・・・。効率悪いですよね」
「そこが奈緒のいい所でしょ?でも今回は自信あったんだけどな~。悔しい!!」
下着姿仁王立ちで悔しがっている。
大きなお乳が揺れてますよ??
「どうしよう。次に進むべきか・・・・それとももう少し手を加えてみるか・・・・・」
大きなお乳を挟むように腕を組みながら次の構想をブツブツ言って着替えようとしない。
「風邪ひきますよ?」
私の声は最早耳に入っていない様だ。
そういえば、こんな時間だけど今から行ってもいいのかな?
時刻は深夜の1時手前。
流石にもう寝てるよね・・・・?
伏せてあるスマホを恐る恐る画面を確認する。
____新着1件
「何々?彼氏~?分かりやすく顔が緩んじゃってー」
やっと着替え始めた美咲さん。
え、そんなに?
「ち、違いますから!」
見られない様に中を確認する。
煌だ!
『お疲れ様。ご飯作ってみた。お腹空いてたらいいな』
いいのかな、行っても。
よし、行ってみよ。