だいじなもの。


と意気込んで来てみたものの、チャイムの前で押そうか悩んでいる。


こんな時間に迷惑かな?


でもさっき電気点いてたし・・・・・



どうしていつも私はこうやってすぐ悩んじゃうんだろう・・・・・


ガチャ____


「あ、やっぱり奈緒だ。お疲れ」


突然開いた玄関の戸から顔を覗かせた煌。


「どうして分かったの?」

「さっき上から見えたの」


そう言いながら戸を大きく開けてくれた。


「2階もあるの?」


お邪魔します。と小さく呟きながら中へ招いてもらった。


「まぁね。ここは仕事部屋みたいなもんで、下はスタジオだからプライベート空間が欲しくてね」



し、た・・・・・・?


ここの家そんなに豪邸だったの?



「お風呂は上なんだけど、先に入っておいで。溜まってるから」

「ありがとう」


自然に荷物を引き受け、お風呂場まで運んでくれた。


「ゆっくりしておいで。疲れたでしょ?その間にご飯温めとくから」

「ありがとう・・・・」


ニコッと微笑んでから扉が閉まった。



意外な展開に頭がついていかない。



こんなに至れり尽くせりでいいの?


お風呂もご飯も用意してくれてる。


光瑠の時は私が全部用意していた。


光瑠の部屋だったのに。


あれ?どっちが本来の形?


前が変だったの?


頭の中をスッキリとさせるためにも一度お風呂の中へ入った。

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