だいじなもの。
「何見てるの?」
洗う食器が少なくてすぐに終わってしまったため、部屋の中をぐるぐると歩いていた。
振り返ると、先ほど私が降りて来た階段の前で煌が立っていた。
上半身裸で、頭には髪の毛を拭いたままのタオルがかけてある。
色っぽすぎて目のやりばが困る・・・・
「写真、見てたの。いっぱいあるから」
目を逸らしたことがバレないようにゆっくりと視線を写真に戻した。
「奇麗だね、見惚れちゃう」
「人撮るより好きなんだけどね」
横に来た気配を感じる。
そんな恰好で横にいられると気になって写真に集中出来ない。
「それより寝ないの?疲れたでしょ?」
「う、うん・・・・」
その前に・・・・・
「服、着て・・・・・ください・・・・」
「え?あ、あぁ・・・・」
ごめんごめん、と言いながら服を取りに行った。
その隙に火照った顔を冷まさなきゃ。
両手でパタパタと顔に風を送る。
「どれが好き?」
「へぁ!?」
思ったよりも早く戻ってきた煌に、思わず変な声が出た。
「え、あ、いや、その・・・・・」
キョロキョロと視線が動く。
「フフッ、テンパりすぎ」
横でケラケラと笑っている煌。
恥ずかしくなってまた顔の熱が上がってきた。
「冗談だよ」
そう言いながらキッチンへ向かった。
「何か飲む?」
煌の問いかけに首を振ると、OKと言いながらコップに水を注いで口に含んだ。