極上初夜は夫婦のはじまり~独占欲強めな社長ととろ甘結婚いたします~
 樹里がしているのは、半年ほど前の話だ。
 証券会社に勤める人と知り合って仲良くなりかけたのだけど、キリッとしたカッコいい外見とは違って、中身は樹里が述べたようにひどいマザコン男だった。

 ハイスペック彼氏ゲットか、と期待したのに、ガッカリで終わったという私の黒歴史で、抹消してしまいたい思い出のひとつだ。
 しかし、その証券マンよりも三浦さんの方が顔もイケているし、性格もいいし、収入だっていい。

『和奏は最初からダメ男を好きになることはないけど、フタを開けてみたらダメって男を掴む傾向にあるからね』

「ひどい」

『和奏のことをちゃんと見てくれる人を選んでほしいって思ってるだけよ』

 こういう話になると、樹里の意見はいつも一貫して同じだ。
 でも正直、私にはよくわからない。
 ちゃんと見てくれるかどうかは、出会って仲良くなっていくうちに自然とわかってくるものなのかな?
 なにも知らない初めのうちから、そんな人なんていないと思う。
 以前そう話したら、樹里には大きくため息をつかれたが、あれはどういう意味だったのだろう。

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