極上初夜は夫婦のはじまり~独占欲強めな社長ととろ甘結婚いたします~
「だんだん酒癖悪くなってないか?」

「スミマセン」

 二十七歳。いろいろあるのだ。深酒したくなることも、だんだん増えている気がする。

 うつむいていると、涼我がこちらに視線を向けているのがわかり、私も何気なく右隣に目を向けた。

「和奏はほんとに俺がいないとダメだな」

 そこには今までに見たことのない、いつくしむような優しい表情をした涼我がいた。
 その瞬間、ドキンと鼓動が大きく跳ねて、心臓が鷲掴みされたようにキュッと痛くなる。

 自分でもなにが起こっているのかわからなくて、これ以上視線を合わせてはいけないと、わざとらしくプイッと顔を背けてしまった。
 今日はもう酔ったのだろうか。それか、目が悪くなったとか。
 さっきの涼我は、私が知っている中で一番カッコよく見えた。


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