極上初夜は夫婦のはじまり～独占欲強めな社長ととろ甘結婚いたします～

　樹里は私を心配してくれているのだと理解はしている。
　これまで私が選んだ人で、お世辞にもいい人はひとりもいないから。

「ハイスペックにこだわらなきゃ、もっと見えてくるものがあるよ」

　そんなにハイスペックが大事なの？　と 樹里の眉間にシワが寄った。
　それは前々から樹里に何度も言われている。

「幸せな結婚を掴んだって、お母さんに言いたい気持ちが強いんだろうけど」

　樹里も私の両親が離婚したのは知っていて、私の想いも話してある。
　長年そんな私を見ているからこそ、樹里ははがゆそうに再び顔をしかめた。

「お母さんとはかなり会ってないけど、素敵な男性と結婚して幸せな家庭を築きますって、それだけは報告したいの」

　反面教師として、絶対に母とは同じ道を歩みたくない。
　だから相手はハイスペックな男性がいいのに、なかなか見つからないのが現状だ。

「ハイスペックな相手と結婚したって、失敗したらなんにもならないじゃないの」