極上初夜は夫婦のはじまり～独占欲強めな社長ととろ甘結婚いたします～

　どんな相手と結婚しても、うまくいかなければ両親のように離婚になるし、幸せにはなれないのだから、樹里の言う通りだとわかっている。
　だけど、未来がどうなるのかは誰にも予測できない。

「幸せな結婚って……なんなんだろ」

　眉間のシワが取れた樹里が、軽く天井を見つめてそうつぶやいた。

「価値観は人それぞれだけどさ、ハイスペックな相手を選ぶことイコール幸せな結婚っていうのは、和奏には違うんじゃない？」

「だって……」

「どれだけ和奏を大切に思ってくれるかが一番大事じゃないかな」

　至極真っ当な意見で、それがないなら結婚なんてしてはいけないのだ。
　でも私はその気持ちにプラスアルファで、誰が見ても幸せな家庭を築ける男性と将来結婚を、と理想が高くなってしまっている。

「そういえば蘭々ちゃん遅いね。私ちょっと見てくる」

　蘭々ちゃんが部屋に戻ってこないのを言い訳に、私もトイレへと向かった。
　実際に樹里が三浦さんに会ったらどんな印象を持つのか想像がつかないが、人あたりのいい三浦さんと接したら、少しは安心してくれるだろうか。
　ぼんやりと考えながら歩いていると、遠くの視界に驚きの光景が広がった。