極上初夜は夫婦のはじまり~独占欲強めな社長ととろ甘結婚いたします~
 しかしなんだろう、このモヤッとしたような複雑な気持ちは。
 人の彼氏に馴れ馴れしくしないなんてあたり前なのに、頭では理解していても心の奥にどうしてもモヤモヤしたものが残った感じがする。
 だけどその正体は不明で、自分でも消化不良で、どうしようもなく気持ちが悪い。

「見つけた。なにやってんだよ、こんなとこで」

 真うしろから突然声をかけてきたのは、涼我だった。

「部屋に戻ったら、和奏が蘭々ちゃんを捜しに行ったって樹里に聞いて。どっかで入れ違いになったんだな」

「ちょっと酔い覚ましに風にあたりたくて」

 そう誤魔化しながら、なんとなく涼我から視線をはずした。
 なんで私がこんな言い訳をしなくちゃならないのだろう。
 これじゃまるで私がなにか悪いことをしたみたいじゃない。

「大丈夫か? 酒はほどほどにしとけよ」

「今日はそこまで酔ってない」

 目を合わせない私の態度が不自然だからか、涼我が私の顔を必要以上に覗き込んでくる。
 こんなのはいつものことなのに、妙にイラッとくるのはなぜだろう。

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