極上初夜は夫婦のはじまり～独占欲強めな社長ととろ甘結婚いたします～

「あぁ、そうだ。料理を出さなくちゃ。トマト煮込みを作ったんだよ」

　三浦さんの言葉のトーンが急に少しやわらかくなってホッとした。
　謝った方がいいのだろうかと迷っていたけれど、その前に機嫌を直してくれたみたい。
　いつまでも機嫌が直らないなんて、私の考えすぎだ。

　それにしても、温泉旅行の件は本当に探偵でも雇ったのだろうか。
　さすがにこの空気で三浦さんにそんな質問はぶつけられないけれど、もしそうなのだとしたら私の行動をこっそりと調べようとしていたことになる。

　いや……。もしかしたら温泉旅行のときだけではなく、普段から調べられていたのかもしれない。
　ダメだ、どんどんと悪い方に想像が働いてしまう。
　今日は久しぶりに会ったし、楽しく過ごすつもりだったのに。

「お待たせ。さ、熱いうちにどうぞ」

　三浦さんがニコリと微笑みながら料理を並べてくれると、トマト料理らしい、いい香りが漂う。

「自信あるんだ。食べてみて？　おいしいから」

「じゃあ、遠慮なくいただきます」

　差し出されたスプーンで、煮込まれたスープを最初に口に運ぶ。
　それを見ながら三浦さんも向かいに座り、自分の料理に手をつけた。