極上初夜は夫婦のはじまり~独占欲強めな社長ととろ甘結婚いたします~
「訴えるなら訴えてみろ! 上等だ」
「涼我!」
「だいたい自分のことを棚に上げて、よくも和奏を傷つけられるな」
「なんの話?」
私が首をかしげると、涼我の動きが一瞬止まった後、ためらいがちに目が泳ぎ始める。
「和奏は、三浦が好きか?」
少し考えるような顔をして、涼我がストレートに本質をついてきた。
「……わからない。好きだったのか憧れだったのか。好きになろうとしていたのか」
「なんだそれ」
好きだと思い込んでいただけなのか、本当に好きだったのか、今となってはわからない。
好きだったとしても、それはハイスペックな部分への憧れであって、三浦さん自身の中身ではないのかも……と思えてきた。
結局私は三浦さんを真正面から見ていなかったから、表のいい部分しか好きじゃなかったのだ。
「だけどこれだけは言える。今はもう好きじゃない」
あの裏の顔を見てしまったら、あったはずの恋心もどこかへ消え去ってしまった。
もう二度と会いたくない、二度と関わりたくない。それが本心だ。
視線を床に落としていた涼我が顔を上げると、意を決した表情で私を見つめた。
「三浦宏樹、三十一歳。名前も生年月日も国際弁護士なのも間違いないが……アメリカに妻子がいる」
「……え?」
「和奏には悪いと思ったけど、うさん臭そうだったから俺が勝手に調べた。今日はそれを伝えに来たんだ」
一瞬自分の耳を疑った。
三浦さんに妻子がいる……まさか既婚者だったなんて知らなかった。
「三年前にアメリカ人の女性と結婚して、娘がひとりいる」
「どうやってそれを……」
「三浦のSNSからいろいろたどってみたらすぐにわかった。奥さんは日本には来ないようだから、三浦はこっちでは遊び放題なのかもな」
涼我の言葉を聞いて背筋がゾクッとした。
もし私が三浦さんを怒らせずにいたら、思いもよらず“不倫関係”になっていたかもしれない。
しかも、そういう女性が私だけとは限らないのではないだろうか。
ほかにもたくさん女性がいたとしたら、私は〝遊び放題〟な内のひとりにすぎないと、そんな想像をしたらまた涙があふれてきた。
アメリカに長期出張だと言っていたのは大嘘で、向こうにきちんと家庭があったのだ。
三浦さんの嘘を素直に信じた私が本当にバカみたい。
「和奏……泣くなよ。あんなヤツのことで泣くな」
苦虫をかみつぶしたような表情で、涼我が悔しそうに言う。
違う。三浦さんとダメになったから泣けてきたわけではなくて、これは自分がふがいなくて情けない、自己嫌悪の涙だ。
そんな私を涼我がギュッと抱きしめる。
涼我の胸は広くて温かくて、負の感情で押しつぶされそうな私を支えてくれた。
「涼我!」
「だいたい自分のことを棚に上げて、よくも和奏を傷つけられるな」
「なんの話?」
私が首をかしげると、涼我の動きが一瞬止まった後、ためらいがちに目が泳ぎ始める。
「和奏は、三浦が好きか?」
少し考えるような顔をして、涼我がストレートに本質をついてきた。
「……わからない。好きだったのか憧れだったのか。好きになろうとしていたのか」
「なんだそれ」
好きだと思い込んでいただけなのか、本当に好きだったのか、今となってはわからない。
好きだったとしても、それはハイスペックな部分への憧れであって、三浦さん自身の中身ではないのかも……と思えてきた。
結局私は三浦さんを真正面から見ていなかったから、表のいい部分しか好きじゃなかったのだ。
「だけどこれだけは言える。今はもう好きじゃない」
あの裏の顔を見てしまったら、あったはずの恋心もどこかへ消え去ってしまった。
もう二度と会いたくない、二度と関わりたくない。それが本心だ。
視線を床に落としていた涼我が顔を上げると、意を決した表情で私を見つめた。
「三浦宏樹、三十一歳。名前も生年月日も国際弁護士なのも間違いないが……アメリカに妻子がいる」
「……え?」
「和奏には悪いと思ったけど、うさん臭そうだったから俺が勝手に調べた。今日はそれを伝えに来たんだ」
一瞬自分の耳を疑った。
三浦さんに妻子がいる……まさか既婚者だったなんて知らなかった。
「三年前にアメリカ人の女性と結婚して、娘がひとりいる」
「どうやってそれを……」
「三浦のSNSからいろいろたどってみたらすぐにわかった。奥さんは日本には来ないようだから、三浦はこっちでは遊び放題なのかもな」
涼我の言葉を聞いて背筋がゾクッとした。
もし私が三浦さんを怒らせずにいたら、思いもよらず“不倫関係”になっていたかもしれない。
しかも、そういう女性が私だけとは限らないのではないだろうか。
ほかにもたくさん女性がいたとしたら、私は〝遊び放題〟な内のひとりにすぎないと、そんな想像をしたらまた涙があふれてきた。
アメリカに長期出張だと言っていたのは大嘘で、向こうにきちんと家庭があったのだ。
三浦さんの嘘を素直に信じた私が本当にバカみたい。
「和奏……泣くなよ。あんなヤツのことで泣くな」
苦虫をかみつぶしたような表情で、涼我が悔しそうに言う。
違う。三浦さんとダメになったから泣けてきたわけではなくて、これは自分がふがいなくて情けない、自己嫌悪の涙だ。
そんな私を涼我がギュッと抱きしめる。
涼我の胸は広くて温かくて、負の感情で押しつぶされそうな私を支えてくれた。