極上初夜は夫婦のはじまり~独占欲強めな社長ととろ甘結婚いたします~
 その後も必要以上に和奏に絡んで、この気持ちを伝えられたら……と考えたけれど、和奏は鈍感なのかまったく気づかない。
 気づいたのは和奏の親友の樹里の方だ。

「涼我、和奏が好きなら好きってハッキリ告っちゃえば?」

 大学生の頃、学内にあるカフェのテラスで樹里と偶然居合わせ、他愛ない会話の中で唐突にそんな話をしてきた。
 もういい加減にしなよ、とでも言いたげな、あきれた表情だ。
 自分の気持ちを前に押し出そうとしない俺に、本気でうんざりしているのかもしれない。

「その気もないのに、ほかに彼女作ってんじゃないわよ」

「普通に悪口言うなよ。彼女じゃないし」

 それは樹里の誤解で、ゼミの先輩に女の子は紹介されたけれど彼女なんかじゃない。
 人付き合いがあるから、誘われれば何度か合コンにだって行った。
 そこで女の子からアピールされたりもしたが、ただそれだけだ。

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