極上初夜は夫婦のはじまり~独占欲強めな社長ととろ甘結婚いたします~
「好きなのは和奏でしょ。なんで言えないわけ?」

「今の俺で脈アリだと思うか?」

 幼馴染なんてポジションは、映画やドラマでヒロインが悩んでいるときに、そばであれこれアドバイスして、挙句振られるのがお決まりのパターンだ。
 和奏は大学に入ってから、彼氏を作るならイケメンがいいとか、頭脳明晰な男がいいと強調するようになった。
 誰もがうらやむような恋がしたいらしい。

 そしてこの頃から、ハイスペック、ハイスペックと条件ばかりを重視するのに拍車がかかっていく。

「将来はハイスペックな男と結婚するんだって言ってるもんね」

 樹里が苦い顔をしながら髪をかき上げた。
 どうやら両親の離婚が、和奏をそんな思考に導いてしまったようだ。

 条件的にいい男を捕まえて、自分は幸せな結婚生活を送るのだと、嫌味のように両親に見せびらかしたいとしか思えない。
 和奏本人はそこまで腹黒いことを考えてはいないのかもしれないが、俺から見ると極度な反面教師だ。

「怖いんだよ。ただの幼馴染の俺が告白して玉砕したら、友達ですらなくなる」

「そうかな?」

「そうだろ。だから将来、今よりハイスペックな男になってみせる。和奏の好みに合わせにいくしかない」

「どんだけ長期戦なのよ」

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