極上初夜は夫婦のはじまり~独占欲強めな社長ととろ甘結婚いたします~
 樹里が再び盛大にあきれた顔をした。
 情けなくうつるのだろうが、今の時点で告白して玉砕する覚悟が俺にはないのだ。

「でも、のんびりしてたら危ないよ。和奏はかわいいから、誰かに先に持っていかれるかも」

 おもしろがってなのか、はっぱをかけるためなのか、樹里は去り際にニヤリとした笑みを浮かべて俺に助言した。

 和奏がかわいいのは俺が一番よく知っている。
 大学生になってから大人の色気も出てきた和奏がモテないはずはない。
 ぱっちりとした大きな目でじっと見つめられると、今すぐ俺のものにしたくなるほどだから。

 しかし和奏には、男を見る目がないという決定的な弱点がある。
 ハイスペックを求めるあまり、その男の中身がしっかりと見えていないのが原因だろう。
 今まで熱を上げた男は、見事に中身がスカスカで空っぽなヤツばかりだった。

 俺としては、男の中身や外見やバックボーンがどうであれ、盛大に邪魔をさせてもらうが。
 それくらいいいだろう、ずっとそばで見守っている幼馴染の特権だ。

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