極上初夜は夫婦のはじまり~独占欲強めな社長ととろ甘結婚いたします~
 なにかブツブツ言う涼我を無視して、かろうじて上着だけは脱いでベッドへダイブした。
 シワになっちゃうから、やっぱりスカート脱ぎたいな。
 ストッキングも窮屈だから脱ぎたいし、いつもの楽なパジャマに着替えたい。

 そんな欲求をぼんやり思い描いていると、首もとまでふわりと布団がかけられた。
 そのほどよいぬくもりで、薄目も開けられないほどに、もう瞼は私の言うことを聞いてはくれず、深い眠りへといざなわれる。

 あぁ……なんて心地いいのだろう。
 そのまま意識を手放してしまう寸前、左目の瞼の上に温かい感触がした。
 それがなにかわからず、目を開けて確かめようにも瞼が重くて持ち上げられない。
 胸に広がる多幸感の正体を知りたいけれど、思考回路が止まってしまって、そのまま眠りについた。


 朝、いつもの時間に目覚ましが鳴る。
 そうだ、今日は仕事だ。気が進まないけれど、あの部長のせいで有給を使って休むなんてそれこそ腹立たしいから、会社に行かなきゃ。

 ムチを打つようにベッドから体を起こすと、ズキズキとこめかみが痛んだ。
 ……二日酔い、だな。
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