極上初夜は夫婦のはじまり~独占欲強めな社長ととろ甘結婚いたします~
「振られました。そんな予感はしてましたけど」

「そうなの!?」

「はい。勢いで自分からキスまでしたのに、見事に振られちゃって」

「……自分から」

 あれは涼我がしたキスではなくて、蘭々ちゃんから涼我にしたものだったのだ。

「涼我も蘭々ちゃんを気に入ってると思ってた。だからここにもよく来てるんだと……」

「和奏さん、それ誤解です」

 蘭々ちゃんが困ったように眉根を寄せて笑う。
 こんなにかわいい子を振った上に私と一夜を共にするなんて、こんなにも悩ましく感じる涼我は今までで初めてだ。

「長い付き合いだけど、最近の涼我はなに考えてるのかわかんない」

 私がポツリとつぶやくと、蘭々ちゃんはやわらかく微笑んだ。

「涼我さんは真面目で優しくて、すごくすごく心の温かい人です。人柄は和奏さんが一番知ってるでしょう?」

 よく知っている。それプラス、世話焼きなところも。
 結局ダメな私をいつも助けてくれているのは涼我だから。
 海老のアレルギーも、薬は飲めていたものの、涼我がいなかったら不安でどうなっていたかわからない。

 蘭々ちゃんには悪いけれど、涼我に彼女ができていなくてよかった。
 そんな感情が沸き起こり、自分の胸をギュッと締めつける。

「そうだね。涼我はいい男だよね」

 まだ心が弱っているからか、涙が出そうだった。

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