極上初夜は夫婦のはじまり~独占欲強めな社長ととろ甘結婚いたします~
 私がずっと無視をしていたことで、三浦さんの怒りをかっている。
 それは容易に想像できたけれど、恐怖のあまりとっさに言葉が出てこない。
 とはいえ、ずっと黙っているわけにもいかないし、今きちんと話をしておくべきだと、短く深呼吸をした後に勇気を(ふる)って声を出した。

「あの……」

「なにか言い訳する気になった?」

「ごめんなさい。……三浦さんと会うのは、もう無理です」

 本当なら、私が謝るのはおかしいのかもしれない。
 ひどい扱いをされ、既婚者だという事実を隠されて裏切られたのも私の方だ。
 だけどケジメをつける意味でも、あなたともう個人的に会うつもりはない、と自分の気持ちをきちんと伝えていなかったのはいけなかった。

「あれ? お前は俺が好きだったよな?」

「それは……違ったみたいです」

「はぁ!?」

 大きな声を出されて肩がすくんだ。
 こんな状態なのに、私が三浦さんを好きなわけがない。
 それは三浦さんも考えればわかるはずだけれど、プライドが許さないのかもしれない。

「いいのか? 俺をゲットしなくても。頭の悪い尻軽女が言いそうなことだけど、ハイスペックな男が好きなんだろう? 俺は相当、意に沿ってるはずだが」

 頭の悪い尻軽女……私はそんなふうに思われていたのだ。
 もうこの人にはなにもガッカリしないはずなのに、さらに地の底に落ちるほど落胆した。
 たしかに三浦さんは表面的にはハイスペックだけれど、性格というかもっと広い意味で人間性がひどすぎる。

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