極上初夜は夫婦のはじまり~独占欲強めな社長ととろ甘結婚いたします~
 私たちは古い友人だけど、泊まり合うような仲ではないから、涼我はもちろんあの後すぐに帰ったのだろう。

 とりあえず涼我には後で電話しようと、バスルームで熱いシャワーを浴びながら考える。
 記憶は飛び飛びだけど、世話をかけてしまったのだろうし、ちゃんとお礼は言っておきたい。

 バスルームを出て、シフォンブラウスに袖を通し、せわしなく通勤用の服に着替えた。
 髪を乾かそうと頭を動かせば頭痛がするし、鏡の中の私は顔もむくんでいて最悪だ。
 果たしてこんな状態で、今日は仕事ができるだろうか。
 眠気覚ましのコーヒーを淹れて、とりあえずそれを口にしてみるけれど、なんだかコーヒーの味さえイマイチだ。

 ふぅーっとため息をついたところで、玄関の方向でガチャッと扉が開く音がした。
 驚いてそちらに目をやると、涼我が上がり込んでくる様子が見えた。

「お。起きてるのか」

「涼我!? 朝早くにどうしたの」

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