【短編】涙の理由を、言い訳させて。
「同じクラスの林さん…
っていうんだけどね」
そう言って、優しい表情で話し始める。
なんでだろう、なんかうまく
息ができない。苦しいや。
理希とはさ、ずっと一緒だったから…
嫌でも分かっちゃうんだよ。
……その子のことが、大切なんだね。
見慣れた横顔が
なぜかいつもより、大人っぽく見える。
…なんで?
それも、林さんのおかげなの?
「……空、綺麗だね」
不意にわたしは、上を見た。
「ほんとだ、綺麗だね」
一緒に上を向いては、笑う彼。
……ちがう。
ごめん、嘘。
ほんとはね
視界が滲んで、分かんないや。
空を見るフリして、必死でこらえた涙。
なんか無性に、泣きたくなったの。