【短編】涙の理由を、言い訳させて。
「あゆちゃん平気!?
僕が保健室に連れてくよ!」
不意に聞こえた声。
胸がドクンとなった。
「理希くんちょうどいいところに…!
お願いしてもいい!?」
花香は、そんなことを言うけれど。
「…なんで理希がここにいるの?」
反対側のコートにいたはずなのに
林さんといたはずなのに…
「なんでって…
危ないって言ったのも、僕なんだよ」
そう言って、クスっと笑う理希。
あぁ、期待するなわたし。
「ほら、乗ってあゆちゃん!」
そう言って、理希はわたしの手を掴んでは
背中に乗せようとする。
「いいよ!!ほんとに大丈夫だから!!」
…触れている手が熱い。
あれ?
理希って、こんなに手
大きかったっけ。