【短編】涙の理由を、言い訳させて。
「…なんか、背大きくなったね」
いつも見ている景色が
いつもより低く感じるのは……
理希の背が大きくなっているからだと
あとから気付いた。
__知らない。
あんなに大きくなった手も
こんなに逞しい背中も
知らないやわたし。
知らないことが、増えていってる。
わたしだけ、置いてけぼり。
「っ……あのさ」
「んー?」
「………わたしが理希を」
__好きって言ったら…
「ん…?」
「……なんでもない」
……やめた。やっぱり言わない。
__っ…言えない。
理希のこと、困らせちゃう。
わたしたちの関係が、壊れちゃう。
……嫌だよ。
っ…無理だよ…。
ヘタレなのは……わたしの方だね。
…理希がわたしを必要としてるんじゃない。
わたしがダメなの、理希がいないと。
ただそれを、認めたくないだけで__。
こうゆうの、依存っていうのかな。
でも、お願い林さん。
わたしから理希を、とらないでよ。
ダメなんだよ。わたしには理希が……
理希だけは、失いたくないんだよ__