【短】桜の下、15歳。
「せ、先輩!私ね、今から移動で、3階で生物の授業なんです。先輩も、移動教室ですか?」

「俺?いや、普通に教室で現国」

「?でも……」


現国?
そう言う割には、先輩の手の中にあるのは、数学のノート。

このノートには、見覚えがある。

桜の木の下で。

1年生の時のノート……?


「ああ、これ?」


先輩はフッと笑い、窓の外に視線を向けた。


「……お守り」


また、私が近づけない、その瞳で。
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