夏空と、ボールと、君と。
2番打者は2年生の選手。

緊張と不安のせいか、いつもよりグリップを強く握っているのがわかった。


…お願い、少しでいいから流れを変えて…


怖くて思わず目を瞑る。


マネージャーなのに、本当に情けない…。


脳裏によぎるのは昨日のやる気に満ちた七宮くんの姿。


目がじんわりと温かくなるのがわかった。





パラパラパラ…


相手校の応援席から拍手が聞こえてきた。



「三振…」


誰かが呟いた。

ゆっくりと目を開ける。



…そうだ、次の打者は…。






バッターボックスに七宮くんが立った。





これで、抑えられたら3アウト。


勝利の道は閉ざされる。





勝ち負けが全てじゃない。何も考えずに悔いのない応援をしよう。


落ち込んでいたら、何もかも始まらないから。



私は手放していたメガホンを取った。




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