Black sweet Darling!《完》
「ご注文は、どうなさいますか?」


一旦深呼吸して、もう一度目の前の男に問う。

文句を言いに来たなら甘んじて受け止めよう。

これ以上変な事になって、ヨージさんに迷惑をかけるのは避けたい。


じっ…っと目の前の男を凝視する。
今度は見惚れたりしない。


「ふっ、お前すげーいい目してんな。カフェ店員にしとくの惜しいわ。」

「どういう意味でしょうか?私はこの仕事に誇りを持ってしているんですが?」


なんだか仕事を下に見られたようで腹がたつ。

そりゃあんたは凄い人なのかもしれないけど、あたしだってプライド持って働いている。


「まぁそう怒るなよ?褒めてんだから。」

「別に怒ってなんかいません。

それより、ご注文は?もしかして昨日の事、お咎めに来られたんですか?」


なら早いとこ謝罪して帰ってもらいたい。

もうすぐビルの通勤組が来店する時間だ。


「お咎め?んなことしねーよ。

ブルーマウンテン、ブラックで。」

「…かしこまりました。」


咎めないんだ…。

本当にコーヒーを買いに来たんだとしたら、昨日の事は気にしていないって事だよね。


あたしは少しホッとしながら、ブルーマウンテンをセットし、スイッチを押した。
< 10 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop