Black sweet Darling!《完》
男は驚いたような顔をして一瞬固まったけど、次の瞬間思い切り笑い出した。


え、な、なんで?

怒られたり睨まれたりするもんだと思っていたのに…



「くっ、はははっ、お前何なの?
俺そんなん言われたの初めてなんだけど!ははっ、はらいて…」


「えーっと…」


お腹を抱えて笑う男に、どうしていいのかわからなくなる。

既に出来上がったブルーマウンテンを手に、唖然とその光景を見るしかない。


「はー、おかし。」


涙を拭い、今度はこっちをじっと見てくる。

本当に吸い込まれそうだ。


「柳瀬 蒼士。」

「…はい?」

「ヤナセソウシ。俺の名前。」


男は自分の名前を名乗ると、ポケットから何やら紙切れを取り出してカウンターに置いた。


「名刺?」

「同じビルに勤めてるんだから名前くらい知っとけ。興味ないだろうけど?浅里奈々さん?」


ククッ、とまた笑いをこぼし、あたしの名札を見てそう言うと、小銭を置いてブルーマウンテンを持って去って行った。
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