Black sweet Darling!《完》

「店長さんいますか?」


朝のラッシュが終わり、お客様もまばらになって来た頃、ヨージさん宛に来客があった。

最近頻繁にやって来る人達だ。


「生憎本日お休みを頂いてまして。」


ヨージさんに代わりあたしが対応をする。
他のお客様に邪魔にならないよう、端の席に案内する。


「そうですか。浅里さんは例の話聞いてらっしゃいますか?」

「ああ…はい…何となくは。」


黒のスーツの男は、30代半ばという所だろう。
もう1人も同じ頃の男性だと思うけどこっちはあまり話さない。

彼らはこのビルのオーナーの秘書。


そして例の話とは、この店…loopに立ち退いてくれと言う話だ。


半年ほど前からヨージさん宛に訪ねて来ては、その交渉をしている。

もちろんヨージさんは毎回断っているのだけど、彼らが諦めないのだ。


「この話を受けて頂いたら、現従業員の皆様を好待遇で引き受けようと言っているのですよ。

なのに中々うんと言っていただけなくて。」


彼らはloopのような老舗カフェではなく、海外の大型チェーンのカフェをテナントに迎えたいのである。

その方が回転率も良く、集客も見込め、売上も上がると言うのが彼らの言い分である。
< 14 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop